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南海に浮かぶ屋久島。樹齢数千年を超える縄文杉と、太古から生き続ける 神秘の森に覆われた世界遺産の島である。また、1500mを超す峰が幾 つも連なり、洋上のアルプスと称されている。その中央に聳える宮之浦岳 は九州最高峰であり、この島をシンボライズする存在となっている。
以前から行ってみたかった屋久島である。屋久島といえば、なんといっても縄文杉が有名であるが、日程の都合で縄文杉を見に 行くか、宮之浦岳登山をするかで迷ったが、後者を選択。初日に白谷雲水峡を散策し、縄文杉とまではいかないが立派な屋久杉 をたくさん見たし、やはり屋久島へ来たからには、宮之浦岳の頂に立たねばという思いもあった。 宮之浦地区にある宿を6時に出発した。外周道路を海沿いに安房まで行き、そこからヤクスギランド方面へ右折するとすぐに山 道になった。曲がりくねった道をどんどん登って行くと、荒川登山口への分岐点があり、さらに進むと路上に猿が群れていた。 屋久猿だそうだ。猿はあまり好きではないが、ここの猿は小さくてなかなか可愛い。この一帯は屋久猿がよく出没するらしい。 遠くには海が見えたり隠れたりを繰りかえしながら車はぐんぐん標高を上げて行き、1時間で登山口の駐車場に到着した。駐車 場には10台分ほどのスペースがあり、すでに3台の車が停まっていた。準備をしているとタクシーに乗った一行がやって来た。 7時登山開始。登山口脇の階段を上るとすぐに鬱蒼とした杉林で足元は木の根っ子。30分ばかり歩くと淀川小屋に到着。この 小屋の裏には沢があり、美味しい水を飲むことができる。水をペットボトルに詰め、すぐに出発。登山道は相変わらずの根っ子 と木段で、登りとくだりの繰り返しでなかなか高度を稼げない。ここは我慢の時間帯であるが、目の前に屋久鹿が現れたりし、 そんな感じで1時間ほどすると視界が開け、小花之江河という高層湿原に着いた。こんな南の島に高層湿原だなんてっ。さらに 30分ほど行くと、今度は花之江河というさっきのよりも大きな湿原に着いた。うす暗い山道を歩いていると、このように拓け たところはとても気分が良いものである。ここが山頂までの中間地点だろうか。軽く休憩し出発。ここから先は幾つかの尾根を 越え、ぐんぐん高度を上げていく。何ヶ所かロープを使って岩場を越えたりしながら30分ほど行くと、投石平に到着した。こ こは一面に大きな岩を敷き詰めたような高台になっており、遠くには海が見えるとても気持ちの良いところだ。腹も空いてきた ことだし、ここらで朝飯にしよう。宿に頼んでおいた弁当を景色を眺めながらゆっくり食べた。ごちそうさま。登山再開。この 辺りから上部は山肌に巨岩が幾つも突き刺さっており、なんとも言えないスゴイ眺めである。いろいろな形をした岩を見ながら 歩くのも、変化があってなかなか楽しいものだ。その後は安房岳、栗生岳へと続く尾根を越え一時間で1936mの山頂に到着 した。山頂からの景色は360°の大パノラマで素晴らしいの一言である。2000mに満たないものの、海岸線から一気に立ち 上がっているだけに、高度感はかなりなものがある。東には種子島の島影が、また遠く真北には開聞岳が見えるということだ。 しばらく景色を楽しんだあと下山開始。14時30分、へろへろになりながら淀川登山口に無事到着。 ![]() ![]() まもなく宮之浦港に入港 南限の高層湿原、花之江河より黒味岳を望む ![]() ![]() 投石平でひと休み 九州最高峰、宮之浦岳に到着 ![]() ![]() 永田岳は屋久島三岳の一つ。九州で第二位の標高 特徴のある山が多く、奇岩を観察するのも楽しい ![]() ![]() 登ってきた道を振り返る。左に安房岳と投石岳 翁岳 <山行後記> 雨の多いところなのだが、幸いにも天気に恵まれた。日帰りするには距離があるので それなりの時間と準備が必要だろう。この山を登ると宮之浦岳だけではなく、屋久島 全体の自然を感じることができる。 ![]() |
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