50槍ケ岳@


 初めての北アルプス、さすがの槍ケ岳
やりがたけ


(3180m)
                                                                                     長野県松本市・大町市
                                                                                     岐阜県高山市


           天を突く鋭鋒。登山をしなくてもその名を知らない人はいないだろう。
           日本の山岳史で、ここまで多くの登山家を惹きつけて止まない山はな
           い。孤高の頂、槍ケ岳。アルピニスト憧れの山は、まさに北アのシン
           ボルである。

   
 2007年9月1〜2日    曇/晴/雨

 ・コース
  上高地⇔横尾⇔槍沢ロッジ⇔ババ平⇔槍沢大曲
  ⇔天狗原分岐⇒グリーンバンド⇒槍ケ岳山荘(泊)
  ⇔槍ケ岳⇒大喰岳⇒中岳⇒天狗池⇒天狗原分岐

 ・1日目 9時間00分 、 2日目 7時間40分
                  (槍ケ岳山荘から)
 ・標高差 1680m 
          
 ・歩程 46.0km
  


いつかは登ってみたいと思っていた槍ケ岳。山登りをする以上いつかはアルプス、その中でもやはり槍ケ岳は特別な存在だ。今
回、昔の会社の元同僚のツトム君と槍ケ岳を訪れる機会を得た。彼は10数年前に槍を登っているということでお供してもらっ
た。1時に上高地手前の沢渡駐車場に車を停め、朝一番のバスが出るまで車の中で仮眠した。上高地バスターミナルに6時過ぎ
に着くと、既に多くの登山者がおり、こちらも準備を済ませ早速歩き始めた。山頂までのルートは徳沢、横尾から槍沢を辿って
槍ケ岳山荘に一泊するという予定だ。まあ、上高地からだと一般的と言うか、これしかないだろう。朝靄の中に浮かぶ河童橋を
過ぎ、快適な遊歩道を明神まで進んだ。この辺りはまだ観光客の姿が多い。明神館の前からは、木々の向こうに明神岳がその鋭
い頂を覗かせている。まだまだ先が長いので急ぐことにした。森の中を順調に進むと徳沢に出た。ここには大きなキャンプ場が
ある。先ほどまで出ていたガスは徐々に消えつつあり、今後の眺望に期待が膨らむ。ほとんど高度を上げないまま8時30分、
横尾に到着した。横尾大橋の向こうに聳える岩峰は屏風岩で、この麓を巻いて行くと涸沢経由で穂高だ。こちらにもいつか行っ
てみたいものだ。左奥には前穂高の山頂が見えた。さて、ここで槍ケ岳までの行程の半分の11kmをやって来た。長い準備運
動と言った感じか。しかし、ここからの11kmが大変だ。時間には余裕があるので焦らず行こう。次の目標地点は槍沢ロッジ
だ。相変わらず梓川に沿って行くが、少しずつ勾配が増してきたようだ。今まで平坦な道が続いていたので、慣れるまでゆっく
りと歩くことにした。ここまで来ても梓川はかなりの水量と湛えている。横尾から40分で槍見河原に出た。ずっと先に槍の穂
先を見ることが出来た。目指すはあのてっぺんだ。今回初めて見る槍の姿に気分が盛り上がってきた。さらに30分歩くと槍沢
ロッジに到着した。お腹が減ってきたので、ここでカップラーメンを買い、早めのランチとなった。まだ10時だが、地図を見
るともうかなりの距離を来たのが分かる。が、これからが正念場だろう。ラーメンを食べ終えると、気合を入れて出発した。こ
こからは槍沢に沿ってひたすら登って行くことになる。しばらく行くとババ平のキャンプ場に出たので、水場で水筒を満たし
た。さらに勾配が増してきたが、樹林帯から森林限界に至ると眺めが良くなった。振り返ると常念岳の綺麗な姿と蝶ケ岳を雲の
間から見ることが出来た。この先の槍沢大曲では東鎌尾根の水俣乗越へと通じる分岐がある。この辺から槍ケ岳が正面に現れる
はずだが、残念ながら雲が掛かっていた。道はハイマツの中を縫うように延びるグリーンバンドへと変わった。どこまで行って
も終わりのないような急登を、休みながらゆっくりと行く。雲が切れはじめ、暑さが増してきた。途中、天狗原への分岐を過
ぎ、30分ほど行ったところでふいに前方を見ると、そこに槍ケ岳が現れた。直下にある殺生ヒュッテと肩にある山荘もはっき
りと確認できた。近くにいた団体からは歓声が上がった。その姿は下から見上げると格好良く、神々しささえ感じられるもの
だ。もう手の届きそうなところだが、ここからが最後の踏ん張りどころだ。グリーンバンドを越えると、今度は山荘に向かって
壁のような斜面をジグザグに登り続ける。前半に飛ばし過ぎたのかペースが落ちてきたが、同行のツトム君は久しぶりの登山に
も関わらず元気だ。岩に書かれた残りの距離を励みにゆっくりと歩を進める。殺生ヒュッテが遥か下になり、上では山荘の前で
休んでいる人達がはっきりと見えてきた。そして14時25分、やがて槍ケ岳山荘に到着した。宿泊の手続きを済ませ、ザック
をデポし、空身で山頂へと向かった。疲れていたが、夕食が16時からなので急ぐことにした。ここからの槍もなかなかのもの
だ。槍の穂先では団体一行が取り付いており、渋滞ができていた。山頂では播隆祭の関係者がお参りを行なっており、ごった返
していた。そのため、山頂の端に立って周りを眺めるが、かなりの高度感がありスリル満点だ。山荘に戻って来ると、とりあえ
ずビールで乾杯。槍をつまみに飲むビールは最高のひと時である。夕食の後は食堂で播隆祭が行なわれた。幡隆上人とは槍ケ岳
を開山した偉いお方で、開山何周年だかのお祭りだということだ。お酒やおつまみが振舞われ、景品抽選会もあり、また、なか
なか興味深いお話を聞くことが出来た。今日はお酒と疲労のため、早めの就寝となった。翌日は4時50分に山荘を出発した。
ガスに覆われて、まだ暗いなかをヘッドランプを点けて歩き始めた。帰りは大喰岳、中岳、南岳から氷河公園の天狗原を経由し
て槍沢に合流するルートにした。これは岩場の続く油断のできない道だった。途中の天狗池で朝食を摂った。槍沢に出ると、後
は一気の高速下山。しかし、横尾を過ぎてからは足の裏が痛みだしペースダウンした。最後はふらふらになりながら、上高地ま
での長い長い距離を歩き終えた。

  
        朝靄にけむる河童橋          明神館の前からは明神岳がよく見える      8時30分に横尾到着。ここで小休止

 
        槍沢ロッジに着いたので早めの昼食とする              ババ平のキャンプ場。美味しい沢水が豊富に出ている

 
     槍沢大曲りは、東鎌尾根の水俣乗越へとつながっている          すっきりしない天気の中、槍沢をひたすら進んで行く

 
       天狗原への分岐を通過。斜面はどんどん急になる                 グリーンバンドから槍沢を振り返る

   
                      雲がすっと消え、大槍がついに姿を現した。待ちにまった瞬間だった

 
     槍ケ岳山荘手前のジグザグはほんとにキツイ                     ヒュッテ大槍と殺生ヒュッテ

 
           14時25分、槍ケ岳山荘に到着                          一服してから頂上アタック

 
     槍ケ岳山荘を見下ろす。前が詰まってなかなか進まない             槍ケ岳に到着。山頂は随分と混んでいた




        <山行後記>
          できることならば喜作新道から表銀座を通って中房温泉に下りてみたかったのだが
          1泊では時間が足りないので断念した。槍沢から見た槍ケ岳の素晴らしさは今まで
          で一番だった。距離が長いので往復とも上高地、横尾間をどう歩くかがポイントだ
          ろう。次は別のコースで登ってみたいものだ。初北アルプス、初3000m級、初
          山小屋泊で槍ケ岳は思い出の山となった。





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