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南アルプスの北部に位置する仙丈ケ岳は、その南北に大仙丈ケ岳と小仙 丈ケ岳を従え、山頂へと続く女性的ななだらかな山容は南アルプスの女 王と称される。とくに、四方に大きな尾根を持ち、3つの美しいカール を抱いた姿は素晴らしい。また、高山植物や高山鳥、亜高山帯の針葉樹 林などが見られ、自然豊かな山である。
深夜に芦安の市営駐車場に着いた。車の数はかなり多く、明日に備えて皆眠りに就いているようだ。駐車スペースを見つけ、こ ちらも早速寝ようとしたところ、すぐ隣にうるさい連中がやって来た。深夜だというのに外で何やら盛り上がっていた。こんな 迷惑な奴等のせいであまり眠れぬまま、5時前にはバス乗り場に向かった。すでに多くの登山者がバス待ちしていたが、8月の シーズン最中はこんなものではないらしい。バスは芦安から広河原へ、そして乗り換えて北沢峠に到着した。長野県側からもバ スがやって来ており、とても賑わっていた。バス停の前にある小屋が長衛荘で、道路を挟んだ反対側に登山道が延びていた。水 を補給し、靴紐を締め直して7時30分に歩き出した。最初からやや急な斜面を登ることになるが、道はしっかりとしており歩 きやすい。樹林帯の中で風がなく、早くも大汗をかいてきた。北沢峠に登山者がたくさんいたが、登ってくる人はあまりいない ようで、登山道はとても静かだ。二合目、三合目と順調に通過し、1時間15分で大滝頭に出た。ここは馬の背ヒュッテから藪 沢に至る分岐となり、帰りはこちらから戻ってくることになる。しばし他の登山者と一緒に休憩とした。左側を見ると三角形の 頭は北岳で、その向こうに鳳凰山の展望だ。一際目立つのはオベリスクだった。再び歩き始めると、すぐに樹林帯を抜け尾根に 出た。この尾根のずっと先の頂は小仙丈ケ岳で、目指す山頂はさらに先になる。振り返ると甲斐駒ケ岳が真正面にあり、さすが の存在感だ。両側には鋸岳とアサヨ峰で、その奥には八ケ岳が見えた。尾根歩きが始まるとガスが流れてきて、風も吹き出して きた。山頂方向の視界が遮られ、おまけに時おり小雨が降ってきた。40分ほど歩くと小仙丈ケ岳に到着した。ここは通過点だ が、小休止することにした。雲の切れ間からは北岳の隣奥に富士山が現れ、日本一位と二位の豪華ツーショットの眺めだ。さ て、最後の登りに取り掛かることにしよう。仙丈小屋の分岐を過ぎ、何度か登り返すと頂上はすぐ目の前だ。両側には落ち込む ようにカールが展開しており、この山の最大の魅力を味わうことができる。11時に山頂に到着したときには、辺りはすっかり 雲に覆われてしまっていた。天候回復待ちらしい人たちがいたが、こちらは一服した後、下山することにした。帰りは仙丈小屋 に寄り、藪沢沿いに馬の背ヒュッテを通って大滝頭に合流するコースだった。 ![]() ![]() ![]() 北沢峠はたいへんな賑わい 長衛荘で水を補給し出発する 歩きだしから急登がまっている ![]() ![]() 北岳のピラミッドは存在感抜群 鳳凰山も現れた。地蔵岳のオベリスクがひと際目立つ ![]() ![]() 大滝頭で小休止 ハイマツ帯をひたすら登る。あれはまだ山頂ではない ![]() ![]() 振り返ると甲斐駒の向こうに八ケ岳が見える 小仙丈ケ岳に着いたが空の様子が怪しくなってきた ![]() ![]() カールに挟まれた稜線を進む 甲斐駒ケ岳、鋸岳と同じ高さに達する ![]() ![]() 仙丈小屋の分岐を過ぎればもう少しだ ガスの中に山頂が見えてきた ![]() ![]() 3時間30分で仙丈ケ岳に到着。残念な天気 帰りは仙丈小屋に寄ってみた ![]() ![]() 小屋からカールと山頂を望む 帰りのバス待ち <山行後記> 後半の天気はいまひとつだったが、仙丈ケ岳の素晴らしさは十分に味わうことができ 満足のいく山行だった。5合目から先は展望に恵まれた尾根歩きを、のんびり楽しむ ことができる。3000m級としては比較的登りやすい山ではないだろうか。 ![]() |
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