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主峰である剣ケ峰を擁し、標高1729mで中国地方最高峰となる大山 だが、この山の特徴はその容姿だろう。眺める位置によりこれだけ違っ た表情を見せる山は珍しい。西側からは伯耆富士と称されるほどの優美 さだが、南北から見ると荒々しいアルペン的な景観だ。特に麓からの切 立つ北壁の眺めは、この山を象徴するものである。
今シーズン初の山行は鳥取の大山だ。予定ではもっと早い時期に他の山へ行く筈だったのだが、いろいろあって予定が大きく狂 ってしまった。2年前に山陰旅行をしたとき、この周辺を訪れたことがあり、そのとき見た大山の姿がとても素晴らしかった。 昨日から降り続いている雨も今日の朝には止むと天気予報が言っていたが、その気配はまったくない。昨日は旅館の窓から大山 の北壁が見えていたのだが、今日はガスが掛かり何も見えない。帰りの飛行機の時間もあるのでこれ以上は待てず、雨具で完全 防備すると、大山寺近くの旅館を8時半過ぎに出発した。5分も歩くと夏山登山口の駐車場に出た。この駐車場入口の脇を進ん でいくと、山の中へと続く登山道があった。緩やかな石段をしばらく登って行くと、道はやがて丸太階段に変わった。良く整備 されており、石が敷かれているため、雨の日でも足元を気にせず歩きやすい。しかし、この丸太階段の連続はかなり堪える。今 年初めての山のせいもあるが、20分もすると早くもグロッキー状態だ。それでも数組のパーティを追い越しながら2合目、3 合目と登って行く。雨に濡れた木々の葉の色がとても鮮やかで、その中からは野鳥の囀りが絶え間なく聞こえてくる。1時間で 5合目に到着した。十数人の登山者が休憩していたが、こちらは呼吸を整える程度で先を急ぐことにした。建っていた道標によ ると、すでに半分以上の距離は過ぎたようだ。さらに15分で6合目避難小屋に出た。ここで樹林帯を抜け、本来なら眼前に北 壁の眺めが展開するところなのだが、ガスのためまったく見ることが出来ない。ここから一旦、尾根状のところを歩くことにな り、吹き渡る風が汗をかいた体にとても心地良い。雨が小降りになってきたので一服することにした。再び歩き出し、しばらく すると8合目だ。すぐに9合目となると、ダイセンキャラボクの中を行く木道に変わった。雨の木道は滑りやすい。間もなく山 頂だろうと、ゆっくり歩いて行くとガスの中から山頂小屋が現れた。辺りは静まり返り人の気配がない。ここから一段上がった ところにあるのが弥山山頂だ。剣ケ峰へと続くルートは崩落が激しく進入禁止となっている。天気が良ければ眼下の美保湾とそ の先の日本海の眺めが楽しみだったのだが残念だ。写真を撮ってもらうため登山者がやって来るのを待っていたがとても寒かっ た。山を下りたら風呂に入ってらっしゃい、と旅館のおばちゃんが言っていたのを思い出し、急いで戻ることにした。 ![]() ![]() 生憎の空模様だが出発するしかないか 夏山登山口は緩やかな石段から始まる ![]() ![]() 五合目では団体が休憩していたので通過する 淡々と歩き続けると半分を過ぎていた ![]() ![]() 六合目避難小屋で休憩。ここからの北壁の眺めに期待したのだが ダイセンキャラボク純林の中を木道が続く ![]() ![]() ガスの中から現れた山頂小屋 2時間25分で弥山に到着。何も見えなかった <山行後記> 今年初めの山行は生憎の天気で終わってしまった。迫力ある北壁の眺めを期待していた のだが残念だ。こんな状況でも多くの登山者がおり、この山の人気の高さが窺えた。足 慣らしと考えていた大山だが想像以上に疲れた。連続する丸太階段と、この標高差を僅 かな距離で上り詰めるわけだから当然だろうか。 ![]() |
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