70十勝岳A


 荒々しい風景と錦秋の十勝路
とかちだけ


(2077m)
                                                                              北海道上川郡美瑛町・上富良野町


               今年の夏は十勝岳温泉から十勝岳まで歩こうと考えていたのだが
        そのときは富良野岳の花が見頃とのことで、予定を変更して富良野岳にしたのだった。
            今回は夏に行くはずだったそのルートで十勝岳を目指すことにした。
                
        

 2013年10月6日    晴/曇

 ・コース
  十勝岳温泉⇒安政火口⇒上ホロ分岐⇒
  上富良野岳⇒上ホロカメットク山⇒上ホロ避難小屋
  ⇒十勝岳十勝岳避難小屋⇒吹上温泉分岐⇒
  吹上温泉

 ・行き 3時間45分 、 帰り 2時間25分

 ・標高差 1067m
          
 ・歩程 12.0km
  


いつものように旭川の宿を早朝に出発するが、今日はレンタカーだ。6時半に十勝岳温泉の駐車場に到着した。この時季はそれ
ほど人がいないと思っていたが、多くの車が止まっていたのには驚いた。北海道は今まさに紅葉の最盛期だ。それを目当の人も
多いのだろう。凌雲閣の正面に広がる紅葉の眺めが素晴らしかったので、しばし観賞してからから歩くことにする。そう言えば
昨年、大雪山を縦走したときの紅葉は期待外れだった。さて、歩き出してしばらくは前回と同じ道を行くことになる。安政火口
の手前を大きく右に折れ、トラバース気味におおらかに登って行く。夏と違って残雪がないので楽に歩ける。50分ほど経つと
上ホロ分岐にでた。まっすぐ進むと富良野岳で、左に分かれると上富良野岳方面になる。ここから先は初めての道だ。岩ゴロの
斜面をしばらく登り進んで行くと、道はやがて木の階段に変わった。300階段と呼ばれるもので、一気に高度を上げていく。
振り返るとつい先ほどまでいた十勝岳温泉の建物が小さく見える。その周りは木々が赤や黄色に染められ、錦秋の装いを呈して
いる。D尾根の上部まで来ると左側に八ツ手岩と三段山の荒々しい姿が俯瞰できる。最後の急登をこなすとそこは十勝岳連峰の
主稜線だ。稜線に出ると風が強く感じられたので、ジャケットを1枚着ることにした。上富良野岳はすぐそこにあった。ピーク
感に乏しく、標柱が無ければ通り過ぎてしまうかもしれない。ここからが今回のルートのメインと言ってもいい。続く稜線の先
に構えている十勝岳の姿は惚れぼれするほどの秀麗さだ。この山を眺めるならやはりこの稜線からが一番だろう。望岳台側から
見上げる十勝岳はあまりパッとしないが。反対側に目を向けるとそこには夏に登った富良野岳がある。富良野岳は対照的に緑の
多い山だった。さて、それでは十勝岳目指して縦走を始めるとしよう。次は目の前の上ホロカメットク山で、一旦下って登り返
す。この間は火口壁のすぐ縁を歩くのだが、道が一部崩れており慎重に行かねばならない。特に風の強い時や、視界不良の時な
どは注意が必要だ。その爆裂火口を見下ろすと、地獄のような恐ろしいほどの迫力を感じる。ここまで荒涼とした風景は他では
あまりお目にかかれない。上ホロカメットク山には上富良野岳から15分で到着した。歩き始めてからは2時間20分、コース
タイムにも納まっており、それほど悪いペースではないようだ。先ほどから後ろに付いてきている親子連れはここで引き返して
いった。上ホロカメットク山からは、短いながらも足場の悪い下りとなる。足元に注意して下ると、すぐその先の上ホロ避難小
屋にでた。夏のシーズンには多くの登山者で賑わうらしいが、今は先行者2人が居るだけだ。こちらもトイレを借りただけで先
に進むことにした。緩やかに延びる稜線は快適そのものである。十勝岳がだいぶ近づいてきた。ここへきて風もおさまってきた
ように感じる。周りに広がる雄大な景色を楽しみながら、気分良く歩くことができる。大砲岩を過ぎ、しばらく行くと道が次第
に急になってきた。山頂直下の登りはこれまでと違い、溶岩が転がる歩きづらいものに変わったが、ゆっくりペースで最後の登
りを終えると十勝岳に到着した。5年前の十勝岳ではほとんど眺望が得られなかったが、今日は曇り空ながらも十分に景色を楽
しむことができる。先に登頂していた人たちも、その景色を眺めたりしながらそれぞれの時間を過ごしていた。十勝岳から続く
先には美瑛岳があり、さらに遠くに見えるのは大雪山とトムラウシ山だ。ここまできたら美瑛岳も早く登ってみたい。反対側に
は富良野岳までが綺麗に見える。富良野岳の奥には雲の中から芦別岳が頭を覗かせている。さて、そろそろ下山することにしよ
う。帰りは望岳台方面から最後は吹上温泉に下る。そして、吹上温泉を13時50分に出るバスで十勝岳温泉まで戻り、車をピ
ックアップする計画だ。バスに間に合いそうにない場合は、ピストンすることを考えていたが、なんとかバスの時間には間に合
いそうなので予定通りにする。下りはじめて山頂直下までは足場が悪く、非常に不安定な斜面が続いた。ここをクリアすると、
その先はまるで月世界を思わせるような幻想的な光景が広がっていた。火口が点在する中を一筋の道が延びている。前回に来た
時もこの眺めに感動を覚えたものだった。十勝岳避難小屋を過ぎしばらくすると吹上温泉方面に道が分かれる。あとはその吹上
温泉までだが、途中に富良野川の渡渉や岩場など思いのほか変化があり楽しめた。13時15分、下山完了。下山後はやはり温
泉だ。


 
         登山口から眺める紅葉。今が最盛期か                 安政火口の手前。荒涼とした世界が広がる

  
       上ホロ分岐は左方向へ            300階段で稜線を目指す           登山口もすでに遥か下に見える

  
      三段山とその先に十勝岳              上富良野岳に到着             こちらは夏に登った富良野岳

  
      眼下にD尾根と八ツ手岩           上ホロカメットク山はすぐそこ        2時間20分で上ホロカメットク山に到着

   
                      目の前にドンと構える十勝岳はここから見るのが一番素晴らしい
                      すっきりとした山容で、そこへ続く稜線は快適な縦走路と言える
  
         上ホロ避難小屋          上ホロカメットク山からの下りは足元注意       下ホロカメットク山に続く山並

 
   快適この上ない稜線散歩。次第に十勝岳が近付いてきた            近くで見るとこの山のおおらかさが実感できる

  
    荒々しいグランド火口を覗き込む         山頂手前が本日一番の急登          3時間45分で十勝岳に到着

   
                歩いてきた稜線の先には富良野岳がある。十勝連山のもう一方の雄は存在感抜群だ
                         富良野岳の奥には雲海に浮かぶ芦別岳を確認できる
 
           このまま進むと美瑛岳に至る                          トムラウシ山をズームアップ
        さらに大雪山とトムラウシ山を遠望する                     左手前に見えるのは美瑛富士?
 
                こちらは大雪山                    下ホロカメットク山のずっと先には日高山脈が隠れている

  
      望岳台方向へ下って行く             山頂直下の不安定な斜面            幻想的な雰囲気漂う登山道

  
          スリバチ火口           前回来たときは無かった十勝岳避難小屋    吹上温泉に下山するのでここを左折

  
  この区間は思った以上に変化がある         麓には鮮やかに彩られた木々    吹上温泉に到着。13時50分のバスまで待つ




          立ち寄り温泉情報
          吹上温泉
          十勝岳温泉カミホロ荘の温泉には何度か入ったことがあるが、ここの温泉は今日が初
          めてだった。十勝岳連峰の中腹、標高1000メートルにある温泉で、立ち寄ったの
          は保養センター白銀荘だ。内湯はヒバの香りが漂い、打たせ湯やジャグジー、サウナ
          などが付いている。露天風呂は東屋が建つ庭園風で、大小4つの湯船に源泉100%
          かけ流しの湯が溢れている。ほとんどの人が立ち寄りらしく、けっこう人が多かった。
          大人600円。効能 登山で疲れた身体に




        <山行後記>
          念願だった十勝岳縦走は想像通り面白かった。5年前には見ることができなかった眺望を
          楽しめたし、なんと言っても主稜線のトレイルは最高だった。麓の紅葉と、稜線から山頂
          付近の殺伐とした風景はどちらもこの山ならではのものだ。時季的に快適に歩けたのも良
          かった。次回は美瑛岳に登ってみたい。





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