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言わずと知れた日本三名山の一つ。古くから信仰の対象とされ、最高峰の 御前峰をはじめ、剣ケ峰、大汝峰からなる霊山である。山頂部には神秘的 な火口湖が幾つも点在し、火山特有の地形を見ることが出来る。また、花 の名山としても知られており、夏ともなると様々な種類の花が一面を埋め 尽くし、まさに高山植物の宝庫と言える。
我が愛車にも待望のETCが搭載された。高速1000円乗り放題の恩恵を受け、早いところ登っておきたかった白山に行くこ とにした。東京の自宅からは高速を利用しても遠く、また仕事あがりの出発のため、睡魔と格闘を続けようやく白山市までたど り着いた。駐車場から一段上がったところが登山口となる別当出合で、ここにはトイレ、水場、小さな売店などがある。水を補 給したあと、靴ひもを締め直して出発した。すぐに観光新道と砂防新道に分かれるが、予定通り砂防新道を進む。吊り橋を渡る と、その先から登りが始まった。登山道は想像したよりも斜度があり、ぐんぐん高度を上げていく。前日までの雨にも関わらず 歩きやすいのは、整備が行き届き、それだけ人気の山である証拠だろうか。30分で中飯場に着いた。正面には甚之助谷に流れ 落ちる不動滝を望むことができる。とりあえず甚之助避難小屋を目指して進む。左側に続く道をさらに行くと別当覗で、本来な らここから別当出合を眺めることが出来るのであろうが、木々に遮られはっきりと確認出来なかった。コメツガ、ダケカンバ、 シラビソなど針葉樹の樹床には笹が繁茂し、さらに、高山植物が姿を見せ始めた。甚之助避難小屋に到着したのは、歩き始めて から2時間後だった。ここでは数人の登山者が休憩していたが、こちらは休みやすみ歩いてきたので通過することにした。南竜 道への分岐を過ぎると、ジグザグにつけられた道がしばらく続く。雪解け水が沢となり幾筋も斜面を横切っており、周辺にはミ ヤマキンポウゲがたくさん咲いていた。それほど急な道ではないのだが、思うように足が進まず、相変わらずのスローペース だ。山頂方向は雲に覆われているが、時折、晴れ間が顔を出す。このまま天候がもってくれれば良いのだが。延命水で一息つく とようやく黒ボコ岩に着いた。黒ボコ岩は何の変哲もない、どこにでもなりそうな大きな岩でたいしたことはなかった。さて、 室堂まではもう少しだ。この先の弥陀ヶ原では景色が一変する。笹原と灌木帯の中には木道が延び、高低差も少なく、これまで とは違ってのんびり歩くことができる。目の前には遂に御前峰が現れた。エコーライン分岐を過ぎると、室堂への最後の登りで ある五葉坂が立ちはだかる。ハイマツの中にまっすぐ続く岩場の道は、足場が悪く厳しい登りだ。五葉坂を越えるとようやく室 堂センターに到着した。スタートしてから3時間40分かかった。ここには宿泊施設のほか、売店、食堂などの様々な施設が整 っている。一旦、荷を下ろし、宿泊の手続きと食事をすることにした。食事が済むと、いよいよ山頂に向けて歩き出した。休憩 後なので足取りも軽やかに30分ほどで白山の最高峰、御前峰に到着した。山頂には白山神社奥宮があり、古くから信仰対象の 霊峰であることが伺える。残念ながら雲が広がってしまい、遠くの山々を望むことは出来ないが、山頂一帯の火山特有の風景 や、そこに点在する火口湖はバッチリ見ることが出来た。最後はその山頂お池めぐりだ。お隣の剣ケ峰を見ながら急坂を下ると 紺屋ケ池、翠ケ池の畔に出る。池の周りには雪渓があり、一部結氷していた。これらの池は神秘的であるが、青空の下ならさら に碧く輝き、素晴らしい眺めになることだろう。お池めぐりコースには適所に解説看板が設置されており、一帯の動植物や自然 環境についての解説がされている。血ノ池の先で大汝峰への分岐があった。あまり時間もかからないだろうと、ついでに大汝峰 を往復することにした。大汝峰から戻ると、室堂までは幾つかの雪渓を渡って行くが、この辺りはチングルマ、ミヤマキンバ イ、アオノツガザクラ、クロユリなどの高山植物がたくさん咲いており、ついつい歩が緩んでしまう。室堂に戻り一服するとす ぐに夕飯となった。食後はとくにすることも無いので、6時前に早くも床に就くことにした。翌日、天気は良くないので、御来 光もないだろうと少しだけゆっくりした。とは言え、帰りのことを考えるとあまりのんびりもしていられない。室堂を後にする と、エコーライン経由で別当出合まで降りてきた。急いで東京に向けて出発だ。 ![]() ![]() ![]() 別当出合の駐車場(下山時) 登山口で砂防新道と観光新道に分かれる 吊橋を渡ると登りが始まる ![]() ![]() ![]() 30分で中飯場に到着。正面には不動滝 登山道は変化があり楽しめる 甚之助避難小屋に到着 ![]() ![]() ![]() エコーラインとの分岐 お花畑の中をジグザグに登っていく 延命水。是非とも頂きましょう ![]() ![]() 黒ボコ岩はたいしたことのない岩だった ここで 観光新道と合流する ![]() ![]() 木道が続く弥陀ヶ原はホッとできるところだ。正面には山頂が現れた 急登の五葉坂から弥陀ヶ原を振り返る ![]() ![]() 3時間40分で室堂平に到着 山頂まではもう少しだ ![]() ![]() 御前峰に到着。雲が多く遠くの景色は× お隣には剣ケ峰が鎮座する ![]() ![]() 紺屋ケ池。まだ雪渓が残っている 一番大きな翠ケ池 ![]() ![]() 大汝峰手前からの御前峰と剣ケ峰 せっかくなので大汝峰にも是非行きましょう ![]() ![]() 2日目、出発の朝はだいぶガスってしまった エコーラインから南竜ケ馬場を見下ろす 白山室堂 ビジターセンターを中心に、いくつかの宿泊棟がありその収容人数は750人にの ぼる。御前峰の直下にあり、周辺には多くの散策スポットがあるので、ここで1日 ゆっくり過ごすのも悪くない。食事はビジターセンター内にある広い食堂でとる。 白山室堂は完全予約制となっており、したがって1人1枚の布団を確保することが できるので安心だ。 <山行後記> 終始曇り空だったが、梅雨真っ盛りの山行としては十分だろう。登山道は水場が多く、 変化に富み、見どころも多いため、飽きずに歩くことが出来た。また、山頂周辺のお池 めぐりは楽しく、火口湖や雪渓を間近に見ることが出来た。花の時期としては少し早く、 あと半月からひと月ほどすれば、もっと多くの花を見ることが出来ただろう。 ![]() |
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