81火打山


 抜群の環境と花咲く楽園に大感激
ひうちやま


(2462m)
                                                                                    新潟県糸魚川市・妙高市


           火打山は頚城三山の最高峰である。隣に寄り添う妙高山とは対照的に
           緩やかな稜線を持つ女性的な美しさが特徴だ。その懐に広がる高谷池
           や天狗の庭周辺の環境は素晴らしい。また、豪雪地帯ゆえに、豊富な
           残雪が作りだす湿地帯にはハクサンコザクラなどの群生をはじめ様々
           な高山植物が咲き誇り、それらを求めて多くの登山者が訪れる。


 2009年7月20日    晴/曇

 ・コース
  笹ケ峰キャンプ場⇔黒沢橋⇔富士見平⇔
  高谷池ヒュッテ⇔天狗の庭⇔雷鳥平⇔火打山

 ・行き 5時間20分 、 帰り 4時間15分

 ・標高差 1147m

 ・歩程 18.0km
  


この山は昨年に登る予定だったが、シーズン終盤で雪が降ったために今年に持ち越していた。どうせなら花の見ごろに登ろう
と、今回の山行となった。車を飛ばし、夜中に笹ケ峰に到着した。駐車場は登山口の手前と、その奥にキャンプ場の大きなもの
がある。とりあえずビールを飲んで朝まで眠ることにする。五時に目を覚ますと、ゆっくり準備を済ませ5時50分に出発し
た。登山道入口に建つ立派なゲートをくぐるとすぐに木道が敷いてある。雨で濡れた木道は緩やかに林の中に延びていた。スリ
ップに注意して35分歩くと黒沢橋に出た。脇の沢は水場になっている。随分しっかりとした橋が架けられており、この先から
道は勾配を増し、一気に高度を上げていく。登山道はヌタヌタ状態で歩きづらく、早くも靴が泥だらけだ。道の悪さに加えてこ
の急勾配は洒落にならない。右に左に折れながら、ひたすら登ること30分で十二曲に出た。まずは一休みだ。ここから先も急
登がしばらく続くが、それも徐々に緩やかになった。ブナの林はいつの間にか針葉樹林に変わり、左手の方向には北アルプス後
立山連峰が雲海の上に現れた。とくに、白馬三山は素晴らしく、突然のパノラマにしばし見入ってしまった。道は富士見平に出
た。ここは黒沢池を経由して妙高山方面へと分岐している。左に折れると目指す火打山となる。分岐を過ぎ、ひと登りすると水
平道が続いていた。針葉樹の樹高は低くなり、笹やハイマツが目立ちはじめる。黒沢岳の西側を廻りこむように進むと、やがて
火打山が姿を現した。その先には焼山だ。手前の開けたところには高谷池ヒュッテが建っている。青空のもと、火打山をバック
に建つ三角屋根のヒュッテはとても絵になる風景だ。歩き始めてから約3時間で高谷池ヒュッテに到着した。ヒュッテの先には
テン場がある。周辺の湿原には大小の池があり、雰囲気の良いところだ。ひと休みした後、再び歩き出すと道の左右にはお花畑
が広がっていた。様々な種類の花が咲いており、とくにハクサンコザクラの群生には目を奪われる。前回の白山ではあまり咲い
ておらず、ここでこれだけのものが見れたのは感激だ。ほどなく天狗の庭になるが、ここも開放感があり素晴らしいロケーショ
ンで、花の数はさらに増えたようだ。天狗の庭を過ぎると道は再び傾斜を増し、休み休みの登りとなった。火打山も大きくなっ
てきた。先ほどよりも雲海が上がってきたが、まだ北アルプスは良く見える。振り返ると、高谷池と天狗の庭は箱庭のようなお
もむきだ。その向こう側には妙高山が頭を出している。手前の丘を登りきると雷鳥平に着いた。だいぶ疲れているがもう一息だ
ろう。山頂直下の稜線には最後の急登が控えており、これをもくもくと消化していくと、やがて火打山に到着した。山頂はそこ
そこの広さがあり、空いているスペースを見つけ休憩した。上空は晴れているが、下から雲が上がってきており、高谷池周辺は
雲間から僅か覗ける程度だ。北アルプスもすっかり隠れてしまった。雲が消えれば360度の絶景が楽しめるのだが。


  
       笹ケ峰キャンプ場の駐車場            登山届を出して歩き始める          緩やかな木道からスタートする

  
35分で黒沢橋に出る。すぐ脇には水場あり       黒沢橋からは急な斜面が続く         十二曲りで休憩。まだ急登が続く

  
         空が広くなってきた            そろそろ急な登りも一段落だろうか       富士見平で妙高山方面と分岐する

 
       火打山(右)が見えてきた。影火打、焼山と続く            木々の間から雲海に浮かぶ北アルプス白馬岳が現れた

 
      火打山と高谷池ヒュッテ。素晴らしいロケーションだ                 笹原の中を緩やかに登っていく

 
          全容を見せる後立山連峰。最高の眺め                   約3時間で高谷池ヒュッテに到着

 
            高谷池の周辺はとても良い環境                木道の両側にはお花畑が広がり、目を楽しませてくれる

 
          天狗の庭には大小の地塘が点在する                 天狗の庭を廻りこむようにして火打山に向かう

 
    雷鳥平手前でも多くの花が見れる。右側の岸壁は鬼ケ城          雲が上がってきて、もうすぐ北アルプスが隠れそうだ

 
       残雪の雷鳥平に到着。かなり疲れているがあと少し           遂に山頂をとらえたが、ここからが苦しい最後の登り

 
     眼下に広がる箱庭のような佇まいが素敵。奥は妙高山               5時間20分もかかって火打山に到着




                            【 火打山で出会った花たち 】

  
           ウサギギク                     モミジカラマツ                    ハクサンコザクラ

  
          アオノツガザクラ                   ミヤマキンバイ                    イワイチョウ

  
          ハクサンチドリ                     キヌガサソウ                    コバイケイソウ

  
           タカネニガナ                     ヤマオダマキ                 ハクサンシャクナゲ

 
           ギンリョウソウ




        <山行後記>
          距離が長く、予想以上に時間がかかってしまった。さらに、前日までの雨の影響で登山
          道の悪さには参った。しかし、高谷池や天狗の庭は息を呑むほどの素晴らしさで、その
          環境の良さは特筆ものだ。まさに、癒しの空間と言える。高山植物も多く、これらの花
          を見るだけでも十分楽しめるが、季節を変えて再訪してみたい山でもあった。





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