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すっきりとした峰々が立ち並ぶ後立山連峰にあって、五竜岳の山容は際立 っている。どっしりと構え、荒々しい山塊が迫り来るその様は男性的であ る。唐松岳へ続く稜線はのびやかだが、反対側は険しい八峰キレットで鹿 島槍ケ岳へ結ばれている。この山を眺めるには遠見尾根からが一番良い。
夜中のうちに五竜遠見スキー場に到着した。エスカルプラザ前の駐車場でいつものように車中泊。ここのテレキャビンは8時を 過ぎなければ運行しない。ゆっくりと準備を済ませ、アルプス平駅に降り立ったのが8時40分だ。準備運動をしている団体登 山者を置き去り、早速歩きだした。まずは、ゲレンデ斜面をリフト1本分登って行く。周りはアルプス山野草園になっており、 見頃はやや過ぎてしまっているが、まだまだ花は楽しめそうだ。ゲレンデ上部まで来ると、団体に道を塞がれなかなか進まな い。登山者と観光客が入り乱れているのだ。20分歩くと地蔵の頭にでた。ここで早くも絶景が目に飛び込んできた。白馬三山 から唐松岳まで続く眺めは素晴らしく、その様は屏風のような連なりだ。この辺りから人の列も無くなりスムーズに歩けるよう になった。すぐに見返り坂になるので、振り返ってみると雲海に北信五岳が浮かんでいた。ここからの遠見尾根はいくつかの小 ピークを越えていくルートで、見晴らしの良い快適なところだ。また、アップダウンは多いがとても歩きやすい。徐々に高度を 上げていき、右手に見える八方尾根よりも高くなってきた。正面には目指す五竜岳が、荒々しく立ち上がっている。その隣には 端正な姿の鹿島槍ケ岳が控えている。小遠見山を越え、その先のヤセ尾根をさらに進むと中遠見に至った。ここまで1時間30 分、そろそろ休憩することにした。尾根の先の方を見ると、こちらへ向かってくる人が見える。朝に山荘を発ったのだろうか、 この後すれ違いが多くなりそうだ。先に進むことにした。大遠見山から西遠見山にかけては、シラビソやダケカンバなどの針葉 樹林帯から望む五竜岳の眺めが良い。コース上に点在する小さな池越しに見る五竜岳は何とも絵になる風景だ。先ほどまで北峰 のみの鹿島槍ケ岳は秀麗な双耳峰を現した。次第に五竜岳が間近になってくると、その稜線上に五竜山荘が確認できた。山荘へ はまず白岳を登ることになる。今までの緩やかな道が一変し、急勾配のキツイ登りが始まった。一部には鎖が掛かる斜面もある が、これはたいしたことはなかった。登るにつれ、五竜山荘が横に見えるようになる。山荘へは巻き道がなく、白岳を越えて行 かねばならない。数回の小休止を経て、白岳に立つとそこからの眺望がまた素晴らしい。やはり稜線からの景色は一味違う。今 まで見えなかった立山、剱岳が目に飛び込んできた。唐松岳へは気持ち良さそうな縦走路が延びている。ここを下るとすぐに本 日の宿である五竜山荘に到着した。まだ時間は早く、五竜岳を往復する時間はあったが、山荘が混み始める気配がしたのでこの まま部屋で休むことにした。 ![]() ![]() ![]() 五竜スキー場のエスカルプラザ テレキャビンでアルプス平駅へ アルプス山野草園の中を登る ![]() 地蔵の頭まで登ると白馬三山が現れる。奥から白馬岳、杓子岳、鑓ケ岳。手前の尾根は八方尾根 ![]() ![]() この先からは好展望の尾根道が続く 五竜岳まではまだまだ距離がありそう ![]() ![]() 小さなアップダウンが続くが歩き易い 気分爽快な展望ルートを進む ![]() ![]() 白馬岳から唐松岳までの眺め 木々の間から顔を出す鹿島槍ケ岳 ![]() ![]() 小遠見山を越えてさらに先へ進む 1時間30分で中遠見に到着。ここらで休憩する ![]() ![]() 快適なトレイルは針葉樹林帯へと変わっていく 五竜岳の重厚感ある山容がよく分かる ![]() ![]() ようやく五竜山荘が見えてきた 振り返ると眼下に白馬村。その向こうに北信の山々 ![]() ![]() 白岳へは今日一番のキツイ登りだ この急登を終えれば五竜山荘はすぐ。休みを繰り返して進む ![]() ![]() 左側には迫力満点の五竜岳山頂部が迫る 後立山の縦走路に立つ。唐松岳へ続くのびやかな稜線 ![]() ![]() しばし五竜岳の眺めを楽しんだあと、山荘へ向かう 4時間55分で五竜山荘に到着。山頂アタックは明日にする 五竜山荘だが、今年一番とも言われる混雑には少しばかりうんざりした。翌朝は5時30分過ぎに山頂へ向けて歩き出した。ま ずはハイマツの中をトラバース気味に行く。すぐに石ゴロのガレ場になり、やがて山頂手前では岩場に変わった。ペンキ○印を 頼りにジグザグに登ると五竜岳頂上に到着した。どこを見ても眺めは絶景で最高だ。一時、隠れてしまっていた立山と剱岳も再 び姿を見せた。先週はあの頂に立ったのだ。唐松岳から先には白馬三山が連なっている。反対側にはキレットを挟んで鹿島槍ケ 岳の双耳峰がどっしりと構えている。信州側には北信五岳も一望できる。凄い眺望だ。十分この眺めを楽しんだ後、下山するこ とにした。 ![]() ![]() 明るくなってから山頂へ向けて出発 1時間弱で五竜岳に到着 ![]() 先週登った剱岳と立山。さらにその先には薬師岳、赤牛岳、水晶岳、が連なる。北アルプスの雄大な眺めを満喫する ![]() ![]() 八峰キレットを越えると双耳峰の鹿島槍ケ岳に至る 五竜山荘からの道程を振り返る ![]() ![]() 鹿島槍ケ岳南峰の肩越しに顔を出す槍ケ岳をアップ やはり剱岳と立山は一番の存在感だ ![]() ![]() 北側には白馬岳。いまだにこの山は登っていない 後立山北部へ続く山並み。唐松岳から白馬岳までが見える 五竜山荘 山荘の人に言わせると、今年一番の混み具合ということだった。山荘に着いた時間 が早かったためガラガラだったが、その後は次から次へと人がやってきた。定員の 倍は入っているだろうと想像できる。夕食は7回ほどに分けて8時過ぎまでかかっ ていた。夜は熟睡できなかった。 ![]() 五竜岳の雪形「武田菱」 ![]() 登山時撮影 奥山田温泉から望遠撮影 <山行後記> テレキャビンがもう少し早い時間に動けば、日帰りも可能かもしれない。遠見尾根 は終始眺望に恵まれた素晴らしいルートだった。山頂手前の岩場以外には危険なと ころはなく、アルペンムード溢れる山岳風景と、変化に富んだルートは十分に楽し めた。五竜山荘の混雑には閉口したが、ゆっくりした山行には1泊はしたい。遠見 尾根が赤く色付くころにも歩いてみたい山だ。 ![]() |
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