88白馬岳


 眺望、雪渓歩きともにいま一つだった
しろうまだけ


(2932m)
                                                                               長野県北安曇郡白馬村
                                                                               富山県黒部市・下新川郡朝日町



          北アルプスの北部、標高2932mの白馬岳は後立山連峰の最高峰である。
          杓子岳、鑓ケ岳と肩を並べ、白馬三山を成している。日本最大の雪渓はあ
          まりにも有名だが、この山の素晴らしさは何と言っても雲上のお花畑だろ
          う。夏ともなれば高山植物目当てに、雪渓には長蛇の列ができる。白馬岳
          は高さだけではなく、その人気においても後立山一を誇っている。



 2009年9月27日    晴/曇

 ・コース
  猿倉⇔白馬尻小屋⇔大雪渓⇔白馬岳頂上宿舎⇔
  白馬山荘⇔白馬岳

 ・行き 5時間55分 、 帰り 3時間10分

 ・標高差 1682m

 ・歩程 14.0km
  


八方の旅館を出て、猿倉にある登山者用の駐車場に着いたのが5時30分。車は数台しか駐まっていない。出発の準備をしてい
るのは、ひとグループだけだ。一段上がったところにある猿倉荘からスタートする。まずは、砂防工事用の道路を歩いて行く
と、すぐに鑓温泉登山道の分岐がある。ブナ、カエデなどの樹林帯の道をそのまま進むと、徐々に空が開けてきた。薄い雲がと
ころどころにあるが、青空が広がっている。あまり天気は悪くなさそうだ。木々の向こうには早くも白馬岳が現れ、これからの
眺めに期待が高まる。しばらく林道が続くがそれも終わり、突き当りの石段を登って行くと白馬尻小屋に着いた。小屋の前には
誰も居らずとても静かだ。すぐに雲がたちこめ、山頂方向はあっと言う間に隠れてしまった。この先は岩ゴロの登りで大雪渓ケ
ルンに出た。ここが大雪渓の下端となる。ここはまだ、雪渓が薄く、あちこちに亀裂がありとても歩ける状態ではない。大雪渓
の取り付きへは、右岸のザレ道をしばらく登らねばならない。しかし、その道は上部からの崩落により寸断されている箇所があ
り、トラバースするとき、足元がとても不安定だ。足を滑らせれば、すぐ下には雪渓の亀裂が待ちかまえている。しばらく登る
と、先の方で先行者が雪渓に入って行ったのが見えたので、こちらも同じところで後に続いた。アイゼンは白馬駅前で借りたも
のを装着した。上空の雲はすっと消え、青空と雪の白とのコントラストが素晴らしい。雪渓に入ってすぐ、上部に向かって小さ
な亀裂が続いており、さらにその先では行く手を遮るように大きなクレバスが口を開いていた。完全に道を塞がれたかに見えた
が、なんとか雪渓の中央に出ることが出来た。ここで下から一気にガスが上がってきて、またたく間に視界を遮られることとな
った。この状況で下手に動くのは危険なので、ガスが引くまでしばし停滞する。さらに先に進むと、斜面中央にせり出したザレ
場があった。ここから上部まで秋道が続いているようだ。下を見ると薄っすらとベニガラが引いてあるのが分かった。どうやら
完全にルートを外れていたようだ。ザレた岩場の急登をしばらく行く。左手上部には杓子岳の天狗菱が鋭く天を突いている。そ
の下の斜面はかなり崩壊が進んでおり、ときおり岩が崩れ落ちる音にハッとさせられる。葱平のジグザグを過ぎると避難小屋に
着いた。アイゼンを外して1時間少々かかった。この辺りは夏にたくさんの花が咲き乱れるようだが、今は斜面を彩る紅葉が秋
の深まりを感じさせる。避難小屋からは岩場となり、だいぶ歩きやすくなった。上を見ると頂上宿舎が建っているのが分かる。
稜線伝いに杓子岳と鑓ケ岳も現れた。歩き始めて5時間10分で村営頂上宿舎に到着。稜線に出て右に返すと白馬山荘があり、
下からでもその巨大さが窺える。その向こうのとんがりが白馬岳となる。西側にある旭岳への分岐を過ぎると白馬山荘はすぐ
だ。あとはガレた斜面をひと登りすると山頂に到着した。東側は垂直に切れ落ちており、覗き込むと足がすくむ思いだ。やって
来た方を見ると、間近に杓子岳と鑓ケ岳が目に飛び込んでくる。そのあいだを気持ち良さそうな稜線ルートが繋いでいる。上空
は青空が出ているものの、遠くの山を見るには雲がかかってしまい、唐松岳から先へと至る峰々は見ることが出来なかった。手
前にある旭岳のずっと先には富山湾まで見えるはずだったが。さて、そろそろ下山しようかと思っていたところ、小蓮華山の方
から一人の登山者が登って来た。山頂には誰も居らず寂しかったので、あの人がやって来るまで待つことにしよう。蓮華温泉か
ら来たというおじさんは白馬岳をピストンするそうで、昨日は立山に行ったそうだ。おじさんとはしばらく山の話などをし、山
頂をあとにした。


  
 猿倉荘手前の駐車場を5時35分に出発            村営猿倉荘                この先から林道歩きが始まる

  
    林道の途中から山頂方向を窺う          1時間で白馬尻小屋に到着         小屋からは岩ザレの不安定な道となる

 
   大雪渓ケルンは雪渓の下端となるが、しばらくは左岸を進む                いよいよ雪渓歩きの始まり

 
  画像では分かりづらいが幅1mほど、深さは数mあるクレバス       雪渓中央へ行かず、岸沿いに進んだのが失敗だった
                近づくと怖かった                           ベニガラはほとんど消えかけていた
 
       あっという間に雪渓歩きは終わってしまった                    雪渓が崩れ落ちて出来た大穴
                                                   左の人と比較するとその大きさが分かる
 
            下からは雲が次々と上がってくる              杓子岳の天狗菱。時おり岩が転がり落ちる乾いた音が響く

 
         雪渓から上は、夏になればお花畑が広がる                 葱平を過ぎてしばらくすると避難小屋がある

 
          斜面のところどころが色付いてきた                     「ライチョウと高山植物は大切に」の看板
            見上げると頂上宿舎が見えた
 
              杓子岳と鑓ケ岳の眺め                            白馬岳頂上宿舎に到着

 
         頂上宿舎から右に進むと、白馬山荘が見える             杓子岳、鑓ケ岳へは気持ち良さそうな稜線が延びる
         1500人収容の日本最大のマンモス山荘
 
          白馬山荘に到着。もうひと息で山頂だ               雲が多く、遠くの景色は望めないが杓子と鑓はよく見える

 
    5時間55分で白馬岳に到着。上空は晴れているが雲多し               三国境から小蓮華山に至る縦走路

 
               となりに鎮座する旭岳                    東面は急峻な落ち込みとなっており、とても近寄れない




        <山行後記>
          思いのほか時間はかかってしまったが、不思議なことにそれほど登ったという感じが
          しない。雪渓以外の登山道はザレている箇所が多く、かなりの悪路もあった。楽しみ
          にしていた雪渓歩きも雪渓は痩せ、距離が短く、意外なほどあっけなく終わってしま
          った。雪が安定する夏に、雪渓と花を楽しみに再訪してみたいと思った。その時は、
          白馬三山縦走と鑓温泉にも是非行ってみたい。





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