91富士山


 日本の山、世界のフジヤマ
ふじさん


(3776m)
                                                               静岡県富士宮市・裾野市・富士市・御殿場市・駿東郡小山町
                                                               山梨県富士吉田市・南都留郡鳴沢村




 2010年8月1日    晴/曇

 ・コース
  富士宮口五合目⇔頂上浅間大社奥宮⇔剣ケ峰

 ・行き 6時間50分 、 帰り 2時間50分

 ・標高差 1376m

 ・歩程 10.0km
  



昨今の富士登山ブームに乗った訳ではないが、早いところ済ませておかねばならない富士山だった。30年以上前に親に連れら
れて一度行ったことがあるが、途中で引き返して登頂出来なかった記憶がある。今回のルートは山頂までの距離と標高差が少な
い富士宮口からとした。来週からは富士山スカイラインがマイカー通行規制となり、5合目まで行けなくなってしまう。昨日の
夕方に5合目駐車場に到着した。レストハウス周辺の駐車場は無理だったが、時間が早かったおかげで一段下ったところにある
路肩に車を置くことができた。4時過ぎに起きて、ゆっくりと出発の準備をした。いったんレストハウスまで上がり、道路を越
えたところにあるのが5合目から始まる登山道だ。標高は2400mとなっている。5時25分、山頂へ向けて出発。初めだけ
やや急な斜面であるが、その後は緩やかでフラットな道が続いた。足慣らしのつもりで行くと、早くも6合目に到着した。まだ
10分ちょっとしか経っておらず、いいペースでのスタートだ。宝永火口へは、ここから遊歩道で行くことができる。さて、2
軒並ぶ山小屋の裏手から新7合目を目指す。この区間はコースタイムが一番長い。斜面も勾配を増し、いよいよ登山らしくなっ
てきた。東側の稜線からは朝日が射し始めてきた。6合目から40分で新7合目に到着した。休憩せずに更に先へ進む。上を見
上げるとすぐそこには山頂があるように見えるが、これは8合目か9合目あたりで山頂ではないようだ。振り返るとレストハウ
スと駐車場がだいぶ小さくなっている。登山道は火山特有の砂礫で滑りやすく、岩もゴロゴロしているので注意が必要だ。次に
着いたのは元祖7合目だった。ここで標高は3000mを越える。岩場の道は斜度を増し、歩きづらくなってきた。上からは下
山する人が次々とやってくる。ペースダウンしながらも8合目に到着。小屋の前には大量の布団が天日干しされていた。スター
トしてしばらくは快調だったが、疲れはじめるとガクンとペースが落ちてしまった。8合目を出たところで軽い頭痛と吐き気を
感じた。これは高山病の症状だろうか、座りこんでしばし呼吸を整える。歩き始めて数分もすると、足が止まってしまい先へ進
めなくなってしまった。すぐ上に見える9合目の山小屋が果てしなく遠くに感じる。途中で10分以上の休憩を2,3度してよ
うやく9合目に到着した。小屋の前では万年雪で冷やした美味そうな缶ビールが誘っている。この先からは一段とゆっくりペー
スになってしまった。下からはゆっくりと雲が上がってきており、7合目付近を包み始めている。何度も休憩を繰り返して、次
の9合5勺へは1時間以上かかって到着した。かなり体力を消耗している。その前にシャリバテだったのか、それほど食欲は感
じなかったが、とりあえず小屋でパンを買って腹に押し込んだ。ここでもたっぷり休んだ後、いよいよ頂上へ向けて最後の登り
だ。と言っても、上を見上げるとかなりの距離を感じる。登りと下りの人が入り乱れるように列を作り、それがジグザグに頂上
まで続いている。ここへ来て体調が良くなってきたのか、疲れてはいるものの、立ち休憩で息を整えながら着実に登って行く。
そして最後に現れた鳥居をくぐると、ついに頂上の山小屋にたどり着いた。頂上には浅間大社奥宮が祀られ、その隣には富士山
頂郵便局が開設されている。小屋の前には多くの人がグッタリと横たわっており、自分も一緒になって休みたい気分なのだが最
後にひと仕事が待っている。小屋の裏に出ると最高点の剣ケ峰が見えてくる。火口壁に沿って左側に回って行くと旧富士山測候
所に続く馬の背という急斜面になる。これがなかなか大変で、端に付けられた柵を手摺り代わりにしてゆっくり登って行く。剣
ケ峰の手前では30人ほどが記念撮影の順番待ちをしていた。予想していたよりは少なく、20分も並ぶと順番がまわってきた。
さて、とりあえず無事に山頂に立てたので、安心してゆっくり休むことにした。上空は快晴だが、雲がだいぶ上まで上がってき
てしまい、残念ながら眺望は得られない。しかし、山頂一帯の火山独特の眺めは素晴らしい。また富士山の雄大さと富士山が持
つ底知れぬエネルギーのようなものを感じることができる。ここまで登ってきて改めて思うことは、やはり富士山は大きいのだ
と。


  
     駐車場から下は雲海が広がる         五合目のレストハウスで出発準備            山頂方向を見上げる

 
        いよいよスタート。しばらくは緩やかな道が続く                   6合目まではあっという間だ

 
         新七合目を過ぎたところから下を振り返る                 順調なペースで元祖七合目までやってきた

 
             八合目から山頂を見上げる                   雲が上がってきて駐車場は完全に隠れてしまった

 
       名前の通り、小屋の周辺では万年雪が見られる            このあたりが一番きついところで、休んでばかりいる

 
     なんとか9合5勺まで着た。山頂はまだ遥か先のようだ               ようやく富士宮ルート頂上に到着

 
            火口壁を辿って剣ケ峰を目指す                     最後に馬の背を越えると剣ケ峰に着く

 
        旧富士山測候所。記念撮影待ちの列に並ぶ

 
                                 剣ケ峰から広大な火口を眺める




          富士登山? 富士山観光?
          巷では空前の富士登山ブームのようだが、そんな最中の山行となった。実際に登って
          みて、改めてそれを実感した。老若男女、国籍を問わず、昼夜人で溢れていた。富士
          山に登るというのが、今ではそこらの観光地に行くのと同じような感覚になっている
          かのようだ。



          富士登山はそんなに面白いのか?
          日本の名峰、世界にその名を馳せる富士山だが、山登りの面白さとしてはどうなのだ
          ろうか。登山と言えば、樹林帯から高山帯、高原、沢、岩場、尾根といった地形や環
          境が変化するなかを歩いたり、周りに広がる風景を楽しめるところが魅力であり、醍
          醐味でもある。天気が悪ければ、花や樹木だって目を楽しませてくれる。その点、富
          士山は花も咲かない赤茶けた溶岩の道を、ひたすらジグザグに登るだけ。シーズン中
          はそれが行列となり、何かの修行のようにも思えてくる。眺めも、眼下に平野が広が
          るだけで、とても山岳風景とはほど遠い。やはり富士山は眺めるための山であり、そ
          こには象徴としての存在感しかないのではないだろうか。しかし、こんな経験のでき
          るところは日本中で富士山しかないのも確かである。一度登ってみるのも一興なり。




        <山行後記>
          もう少し楽に登れると思っていたが、日帰りだったためかかなりきつい山行となっ
          た。前半飛ばし過ぎてしまい、8合目からは休んでいる時間のほうが多かったよう
          な気がした。一度は登らなければならない山だけに、無事に登頂できたので良かっ
          た。





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