今年初の北海道遠征で旭川にやって来た。梅雨真っ盛りの関東と違い、爽やかな気候に迎えられた。
       今回の目的地は富良野岳。この山の周辺は花が多く、これからの時季は花観賞でも楽しみなところだ。
   
 2013年6月30日    

 ・コース
  十勝岳温泉⇔安政火口⇔上ホロ分岐
  ⇔富良野岳肩分岐⇔富良野岳

 ・行動時間 6時間

 ・標高差 622m

 ・メンバー 私

 ・歩程 10.0km
  


山行当日の朝、ホテルを出ると見たことのあるおじさんが玄関先で待っていてくれた。とても懐かしい。昨年の秋に大雪山を歩
いたとき、お世話になったタクシーの運転手だ。今回も登山口との送り迎えをお願いすることにした。5時に宿舎を出発し、1
時間ほどのあいだ運転手と話をしていると登山口のある十勝岳温泉に到着した。ここは北海道で最高所にある温泉で、温泉旅館
の凌雲閣が建っている。宿専用の駐車場の隣に大きな駐車場があり、その奥に登山道が続いていた。今日はこれ以上ない最高の
天気で、素晴らしい山歩きと眺望が楽しめるだろう。時刻は6時30分、軽い朝食を済ませると早速歩き出した。まずは緩やか
な遊歩道を20分ちょっと行くと右手に富良野岳、左手には三段山手前の尾根が現れる。そして、目の前に広がる安政火口の荒
涼とした風景に迫力を感じながら、涸れ沢に残った雪の上を渡って対岸へ行く。D尾根取り付きを過ぎると登山道は徐々に登り
はじめ、緩やかなアップダウンを繰り返すことになる。振り返ると先ほどの十勝岳温泉がだいぶ小さくなっていた。その遥か下
には上富良野の街が望め、それほど登っていないにも関わらず、この眺めにこれからの期待が膨らむ思いだ。上ホロ分岐を過ぎ
ると雪の量はますます増えてきた。これほど残雪があるとは予想外だった。しかし、アイゼンを必要とするまではないが、急な
登りではけっこう歩きづらい。雪が途切れたところでは岩が出ている。前方の富良野岳に向かってトラバースぎみにどんどん進
んで行き、急な登りを越えると稜線にでた。ここは富良野岳肩分岐で多くの人が休憩していた。その人たちに混ざり、こちらも
ザックを降ろし休憩することにした。稜線を左へ行けば三峰山を経由して上富良野岳へ、右は目指す富良野岳となる。さて、ひ
と休みしたところで歩き出すとする。しばらくは階段が続くが、その脇に目を向けるとところどころにコマクサが咲いているの
が分かる。良く見ないと見落としてしまうところだ。この辺りから花の数がぐんと増えてきた。チングルマ、エゾツガザクラ、
エゾヒメクワガタ、メアカンキンバイ、エゾツツジなど。なかでもエゾコザクラとエゾノハクサンイチゲの群落は見事で、登山
道の両側の斜面をピンクと白で染め上げている。これだけ花が多いとなかなか足が進まないが、目の前に見えるピークを目指し
てゆっくり登って行くとやがて富良野岳に到着した。山頂はそれほど広くなく、そこで7,8人の登山者が思いおもいの時を過
ごしていた。抜けるような青空のもと、楽しみにしていた山岳観賞の始まりだ。その景色だが、登って来たほうを振り返ると稜
線の先には十勝岳が鋭い頂を天に突き上げており、左には美瑛岳が続く。さらに奥には大雪連山が控えている。やはり何と言っ
てもこの眺めだ。とくに残雪をあしらった大雪山の姿は美しさを感じる。この眺めだけでも満足できるだろう。反対側に目をや
れば、眼下に広がる富良野平野の向こうに芦別岳と夕張岳が存在感を示している。そばにいた人が芦別岳の奥に後方羊蹄山が見
えると教えてくれたので目を凝らして見ると、はっきりそれと分かった。まさかここから後方羊蹄山が見えるとはなんだか感激
である。南には原始ケ原の湿原が広がっており、その向こうには日高山脈の連なりも遠望できる。1年前に百名山完登を成し遂
げたときに登った幌尻岳を思い出した。十勝岳温泉には12時30分に下山できた。カミホロ荘まで戻って来ると、タクシー運
転手が笑顔で待っていてくれた。温泉に入って汗を流していってくださいと。


  
     6時30分に駐車場を発つ           安政火口の手前の雪渓を渡る            眼下に広がる富良野平野

 
   目指す富良野岳。残雪を纏った山稜が青空によく映える            もっとも長い残雪地帯。アイゼンは必要ない

 
        振り返ると十勝岳とその奥に大雪山               トラバース道も終わり。稜線手前の急登は灌木帯の中

 
     富良野岳肩分岐で稜線に出る。ここで大休憩とする               稜線ではたくさんの花が迎えてくれた
        周りにはポツリポツリとコマクサが咲いている
  
       分岐からは花を観賞しながらのんびり行く               左手の斜面の先には原始ケ原が広がっている

 
         エゾノハクサンイチゲの大群落は見事                   花の種類も多くついつい歩が緩んでしまう

 
       最盛期のエゾノハクサンイチゲと十勝岳                  道の両側を埋め尽くす色とりどりの花たち

 
       登って来た道を振り返る。間もなく山頂だ                      3時間で富良野岳に到着
                                                        360度の眺めはこちら
    
                      山頂からの眺めは圧巻。360度、どこも向いても素晴らしい眺望だ
           ひと際目を引く十勝岳から美瑛岳へと続く。奥にはまだ残雪たっぷりの大雪山が輝いているように見える
 
         富良野平野を挟んで芦別岳と夕張岳               芦別岳の先には後方羊蹄山まで捉えることができた

 
   東側には十勝連峰から分かれて下ホロカメットク山が続く                 南には日高山脈が連なる
                                              この中に幌尻岳があるはずだがまったく同定できない




          立ち寄り温泉情報
          十勝岳温泉カミホロ荘
          夏のバイクツーリングと冬の旅行で宿泊したことがあり、とても気に入っている温泉
          なので今回も寄ってみた。木をふんだんに使った内湯はなかなか良い雰囲気だ。露天
          風呂は小さいながらも、十勝の自然と遠く眼下に上富良野の町を俯瞰できる。また、
          雲海も見ることができ、是非泊まりで来たいところだ。
          大人600円。効能 登山で疲れた身体に




               旭川グルメ情報
               旭川のジンギスカン
               最近、旭川を訪れると夕飯は必ずジンギスカンにしている。3・6街には何軒か
               のジンギスカン屋があり、その中でお気に入りの店に入る。生ラムのロース肉が
               とても美味い。また、ナンコツもおすすめの一品である。ビールを飲みながらの
               ジンギスカンは最高だ。ガッツリ食って翌日の山行のパワーに。
                   



              <あとがき>
          北海道の山歩きでこれだけの快晴は久しぶりだった。道程は稜線までのあいだ、
          半分ほども雪の上を歩いていた観があったが、稜線からは花を十分楽しむことが
          できた。そして、山頂からの360度の大展望は感動もので、とくに大雪山の姿
          は印象的だった。次回はぜひ十勝岳との縦走をやってみたい。







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