思えば3年前の水晶岳から北アルプスには行っていない。最近では楽な山歩きばかりしている
         ようで、体力勝負の高い山からすっかり遠ざかってしまった観がある。今回は久しぶりの北ア
         ルプスだ。小屋泊まりで針ノ木岳を目指すことにした。


 2014年7月12〜13日

 ・天候 晴(1日目)  曇→雨(2日目)

 ・メンバー 私

 ・コース
  扇沢⇒種池山荘⇒岩小屋沢岳⇒
  新越山荘(泊)⇒鳴沢岳⇒赤沢岳⇒
  スバリ岳⇒針ノ木岳⇒針ノ木小屋⇒
  大沢小屋⇒扇沢

 ・行動時間 6時間50分(1日目)
         8時間20分(2日目)

 ・標高差 1471m

 ・歩程 21.0km
  


夜中に扇沢に着くと朝まで仮眠といきたいところだが、車中が予想外に寒くてまったく熟睡することができなかった。まあ、睡
眠不足はいつものことだ。針ノ木岳へは針ノ木雪渓を登るコースと柏原新道で稜線まで登り、そこから縦走するコースがある。
針ノ木岳だけが目的なら頑張って雪渓を登ってピストンするのだが、この山域はやはりスバリ岳や赤沢岳などの山も併せて歩き
たい。となれば、ここはやはり縦走するのに楽そうな柏原新道から反時計回りで行くのがベストだろう。梅雨空が続くなか、こ
の週末は奇跡的に天気が回復し、今日は朝から青空が広がっている。登山口周辺の駐車場には多くの車がとまっていた。それで
は7時に柏原新道を出発。柏原新道は6年前の鹿島槍ケ岳のときに歩いていた。その時の印象はとても歩きやすい道だった。1
時間も歩くと眼下に扇沢のターミナルが小さく見え、左手には赤沢岳から針ノ木岳に続く稜線が現れた。さらに歩を進めるとそ
の稜線の上に種池山荘がちょこんと乗っているのが確認できた。山荘まではまだまだ時間がかかりそうだ。ここから先は暑さの
せいか、休憩する回数が多くなってしまった。以前歩いた時はかなり良いペースで歩けたのだが、今回は休んでばかりだ。その
ためコースタイムぎりぎりの時間でようやく種池山荘に到着した。しばらく大休憩のあと、再び歩き始める。種池山荘からは爺
ケ岳から鹿島槍ケ岳と針ノ木岳方面とに分かれる。鹿島槍ケ岳方面へ行く人が圧倒的に多いため、ここから先は静かで、のんび
りした稜線歩きをすることができる。花の種類も格段に多くなった。中でもシラネアオイやキヌガサソウ、シナノキンバイ、チ
ングルマなど、色とりどりの花々が目を楽しませてくれる。種池山荘から新越山荘までは楽に行けると思っていたが、アップダ
ウンが幾つも続き意外と疲れる道だ。それでも2時間ほどで岩小屋沢岳に着いた。目に飛び込んでくるのは立山と剱岳の眺めだ。
歩いて来た方を振り返ると鹿島槍ケ岳とその向こうに白馬岳が小さく見える。やはり北アルプスの眺めはいいものだ。そして、
ここから少し進むと鞍部に本日の目的地である新越山荘が見えてきた。その新越山荘には2時前に到着した。人も少なく、久し
ぶりの山小屋でのんびりできそうだ。夕方までは景色を眺めたり部屋でごろ寝したりしながら過ごし、夕飯後は明日に備えて早
目に床に就いた。


  
   ここの無料駐車場は初めて利用した       7時に柏原新道を登りはじめる       ケルン手前から扇沢駅と針ノ木・スバリ

  
     稜線に種池山荘が見えてきた           ガラ場に残る雪には要注意          3時間40分で種池山荘に到着
                                                             山荘からの眺めはこちら
 
    赤沢、スバリ、針ノ木岳の稜線は今回のメインステージ            立山連峰が現れた。まだまだ残雪がたっぷり

 
   種池で大休憩のあと再出発。まずは岩小屋沢岳を目指す                 登山道を彩る高山植物たち

  
            後立山の秀峰・鹿島槍ケ岳                         その右手前には爺ケ岳の三峰

 
      立山・剱岳の眺望はこのルート最大の魅力だろう                     大迫力の剱岳をズーム

  
 なだらかに見えるが意外と上り下りがある   ようやくひとつ目のピークが近づいてきた          岩小屋沢岳に到着

 
       針ノ木岳に続く稜線の眺めが手に取るようだ                    立山剱のベストビューポイント

 
           鹿島槍ケ岳の奥には白馬連峰                       ハイマツの中にハクサンイチゲ

 
      鳴沢岳の手前のコルに新越山荘が見えてきた              6時間50分でようやく新越山荘に到着。疲れた


予報では2日目の天気も悪くは無かったのだが、窓から外を覗くとどんよりとした曇り空が広がっていた。今日は新越山荘を発
ち鳴沢岳、赤沢岳、スバリ岳、そして針ノ木岳まで縦走し、針ノ木大雪渓を下って扇沢まで戻るという行程だ。展望が魅力のコ
ースも今後の天気が心配される。朝食のあと5時30分に出発した。まずひとつ目の鳴沢岳には40分で到着した。のっけから
の急な登りは少々堪えたが、ひとつずつ越えて行くしかない。山頂からは曇り空ながらも遠くの山まで見ることができ、360
度の眺望は素晴らしい。まだ先は長いので次を目指す。赤沢岳への途中でポツポツ雨が落ちてきた。まだ大した降りではないが、
早目に雨具を着ることにした。空模様を気にしながら歩き、1時間30で赤沢岳に着いた。ここも眺めは最高だ。立山、剱岳は
もちろん、眼下に黒部湖を俯瞰できる。さらに、その先には裏銀座の名峰がズラリ連なっている。この景色を見たかったのだ。
やって来た方向を振り返ると、ここまで随分歩いてきたように見える。実際にはまだ半分も歩いていないのだが。赤沢岳の下り
はかなり注意が必要だ。慎重に下ればそこからスバリ岳までは比較的緩やかな道が続いていた。次第に雨が強まり、周囲の山が
雲に隠されるのは時間の問題だろう。しかし、天気が悪くても高山植物は多く、殺風景な登山道を鮮やかに彩っている。なかで
もスバリ岳周辺のコマクサの群落には感激した。蓮華岳まで行かなければ見ることができないと思っていただけに。スバリ岳の
直下まで来ると、そこからは見上げるような登りがまっていた。何度も立ち休憩をしながらようやくスバリ岳に着いた。疲れが
溜まっているがすぐに最後の針ノ木岳に向かう。手前の小スバリを巻いて針ノ木岳との鞍部まで下るとヤマクボノコルだ。針ノ
木雪渓へ向かってヤマクボ沢が延びている。岩屑だらけの不安定な道を登り詰めると遂に針ノ木岳に到着した。新越山荘から4
時間40分、かなりのスローペースながら、ほぼコースタイム通りだ。山頂はすっかり雲の中。雨もますます強くなってきたの
ですぐに下山する。針ノ木小屋までは何カ所か残雪地帯があった。ステップが切ってあり、問題なく通過することができた。視
界の悪い中、黙々と下って行くとやがて針ノ木小屋に到着。小屋で昼食代わりのラーメンを食べると少し体が温まった。さて、
こんな天気でなければ蓮華岳に寄ってみるのも良いかなと思ったがこれでは仕方がない。それではいよいよ雪渓を下降するので、
持参したアイゼンを装着した。ゆるんだ腐れ雪のためアイゼンを着けていてもスリップすることがあるが、構わずガンガン下っ
て行く。ただ雪渓上部は視界が利かないためルートロスに注意しなければならない。雪渓歩きが終わると夏道となり、大沢小屋
を越えて13時50分に扇沢に戻って来ることができた。


  
    5時30分、今日も元気に出発         針ノ木峠から槍が顔を出している            まずは鳴沢岳に到着

 
    続いて赤沢岳。小さなアップダウンが多く早くも疲れが         黒部湖とその先に広がる裏銀座の名峰。これが見たかった
          鳴沢岳、赤沢岳ともに眺望は抜群
  
     赤沢岳からの下りは要注意          コマクサが群生していて大感激           次第に雨が強くなってきた
       ここはかなり怖かった
  
   最後の針ノ木岳が立ち塞がっている      針ノ木岳に到着するもすっかり雲の中     針ノ木岳から40分で針ノ木小屋に到着
                                   速攻下山にとりかかる           少し早目の昼食でラーメンを注文
  
    針ノ木雪渓をしばらく下ったところ      アイゼンを効かせてガンガン下って行く       13時50分、ようやく扇沢に帰還
  上部はほとんど視界が利かなかった                                     あとは温泉に入ってサッパリだ




               新越山荘
               岩小屋沢岳と鳴沢岳の鞍部に建ち、小屋の前からは針ノ木岳と蓮華岳を正面に、
               そして裏手にまわれば立山剱岳を眺めることができる。同系列の種池山荘、冷
               池山荘と比べて規模は小さいが、訪れる人も少ないようでとても静かだった。
               最大で28人入るという部屋には8人分の布団が置いてあったが、この日はそ
               こに4人しかいなかったのでゆったり快適に過ごすことができた。
          



              <あとがき>
          種池からの稜線歩きは眺望に優れた素晴らしいものだった。とくに、黒部湖や立
          山剱をはじめ裏銀座の山々の眺めはこのルートならではのものだろう。また、こ
          の時季は多くの花が見られるので、やはり夏山は良いなと感じた。人が少ない山
          域のため、静かに歩きたい人にはうってつけだ。そして、新越山荘ではのんびり
          とした時間を持つことができた。2日目の天気は残念だったが、久しぶりのアル
          プス山行を堪能できた。







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