68北岳


 南アルプスの王者は花盛りだった
きただけ


(3193m)
                                                                                      山梨県南アルプス市


          すっきりとしたピラミダルな山体を構える北岳。間ノ岳、農鳥岳という
          3000m級の峰々とともに白根三山を形成し、富士山に次ぐ標高を誇
          っている。その姿は堂々たる貫禄で、南アルプスにおいてまさに王者の
          風格がある。大樺沢の雪渓やバットレスのダイナミックな展望、花咲き
          乱れる稜線歩きや雄大な眺望など、魅力満載の山は南アで一番の人気で
          ある。


                        南アルプスで一番登ってみたかったのが北岳だ。
       何となく特別な存在というイメージを抱いていたが、やはり早いうちに登っておきたかった。
           今日は北岳を登頂後、北岳山荘に泊まり、明日は間ノ岳を目指すことにする。

                 【 北岳 --- 北岳山荘(泊) --- 間ノ岳 


 2008年8月2日    晴/曇

 ・コース
  広河原⇒広河原山荘⇒二俣⇒小太郎尾根⇒
  肩の小屋⇒北岳⇒北岳山荘(泊)

 ・行き 6時間35分 、 帰り 1時間10分
                  (北岳山荘まで)
 ・標高差 1673m
          
 ・歩程 7.5km
  


芦安温泉にある市営駐車場で仮眠をし、朝一番のバスで広河原に着いた。ここは昨年の仙丈ケ岳と甲斐駒ケ岳ですでに訪れたこ
とがあり、毎度お馴染みの場所だ。アルペンプラザの先、野呂川に架かる吊橋の手前からは遠くに北岳がその姿を覗かせてい
る。あの頂を目指して長い旅路の始まりだ。吊橋を渡ると広河原山荘があり、多くの登山者が出発準備をしていた。ここで水を
補給し6時30分に歩き出した。再び北岳が現れるまでは森の中を緩やかに進んで行くことになる。さすがに人気の山だけあっ
て、登山道はところどころ渋滞となっていた。しばらくして瀬音が聞こえてくると、ここからは大樺沢の流れに沿って行く。何
度か沢を渡渉するが、涼感に溢れとても気持ちがいい。歩き出してから2時間で樹林帯を抜け、眼前に北岳が現れた。ここから
見る北岳はとても登頂意欲をそそるものがある。東面には600mにおよぶバットレスが立ちはだかっている。この先は雪渓沿
いに大樺沢を直進せずに、右俣コースで小太郎尾根に出ることにした。道は少し斜度を増してきたが、その後は草原のような斜
面が広がり、その中をジグザグに登って行った。辺りはシナノキンバイが群生しており、一面を黄色く染めていた。振り返ると
鳳凰山がよく見え、だいぶ標高を上げてきたことを実感できる。この斜面を登り詰めると北岳の頂上へと続く尾根に出た。今日
はここまでとても良い天気だ。しばし風景を眺めながら休憩することにした。鳳凰山や甲斐駒ケ岳、仙丈ケ岳など、周りの山々
の展望は最高であるが、下からは雲が上がってきつつある。南へ延びる稜線の先、一番高いのが北岳の頂だが、まだ距離がある
ようだ。広河原からここまで5時間歩き、だいぶ疲れも溜まっているが、たくさんの高山植物が見られる尾根歩きは気分爽快
だ。その高山植物だがとにかく種類が多く、色彩豊かでついつい足を止めてしまう。キタダケソウには遅かったが、珍しいタカ
ネマンテマを見ることが出来た。やがて肩の小屋に到着すると、そこは多くの登山者で賑わっていた。一服したかったが、すぐ
目の前には北岳が待っているので先を急ぐことにした。手の届きそうな距離だが、まだ200m登らなければならない。疲れた
身体にはかなり堪えそうだ。岩稜帯を慎重にゆっくりと登って行き、13時過ぎに遂に山頂に到着した。雲にまかれてしまい、
残念ながら東側の眺望は得られないが、この頂に立てたことは感無量である。今日はこの後、北岳山荘に投宿する。時間には余
裕があるが、もう山頂を後にして早めに山荘に入ることにしよう。尾根を境にして片側だけ雲か張り付いており、その雲の間に
赤い屋根が見えた。北岳南面も相変わらず花がたくさん咲いていた。すぐそこに見えた山荘もなかなか近づいてこないが、下り
で気分的にも楽なため、花でも愛でながら楽しく歩くことが出来る。八本歯ノコルからの合流後は道も緩やかになり、やがて北
岳山荘にたどり着いた。今日は宿泊者が多いようで、布団1枚に2人ということだ。夕飯まではまだ時間があるので、まずはビ
ールでも飲んでゆっくりすることにしよう。


  
     広河原でバスを降りて歩き始める         吊橋を渡ると広河原山荘がある          大樺沢に沿って樹林帯を行く

 
        再び姿を見せた北岳。バットレスが迫力ある                直進は大樺沢の雪渓を通って八本歯だが

 
          二俣を右に進み小太郎尾根を目指す                      右俣コースは開放的で好展望

 
           お花畑の中をジグザグに登っていく                       次第に北岳が近くなってきた

 
            北に目を向けると八ケ岳連峰                    鳳凰山がいい眺め。オベリスクもはっきり見える

 
            小太郎山の向こうに甲斐駒ケ岳                    さらに仙丈ケ岳などオンパレードの眺め

 
           登山者が列を成して山頂を目指す                  ようやく肩の小屋に到着。あとひと踏ん張りだ

 
      山頂手前で見つけた タカネマンテマ。これは珍しい              色とりどりの花たちが目を楽しませてくれる

 
          最後の力をふりしぼって山頂に向かう                6時間35分で北岳に到着。曇ってしまったが感無量

 
             北岳山荘への下りにはいる                 8時間かかって北岳山荘に到着。ビールが待っているぞ




          北岳山荘
          北岳と中白根の鞍部に建つ真っ赤な屋根が印象的な山小屋。建築家の故・黒川紀章
          氏が設計した。築後だいぶ年数が経っており、内部は年季が入っている観がある。
          小屋に到着し、宿泊の手続きをしようとしたが、それほど人が並んでいないのに係
          の対応が悪いのか1時間くらい待たされた。寝床は1枚の布団に2人で、いびきも
          あってぐっすり眠ることが出来なかった。




        8月3日 間ノ岳





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