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白根三山の真ん中に位置する間ノ岳は南北に伸びる尾根と東側には大きな カールを形成し、その姿はどっしりとした重厚感がある。また、広大な山 稜には様々な種類の花が咲き誇っている。国内4位の高峰でありながら直 接登るルートは無く、北岳に付随した山といった存在だ。 【 北岳 --- 北岳山荘(泊) --- 間ノ岳 】
狭い布団といびき嵐のせいで熟睡できないまま2日目を迎えた。朝4時過ぎに起き、窓の外を見ると雲海の上に富士山が浮かん でいた。眠い目をこすりながら、用意してもらった弁当を食べ終え、身支度を済ませ外へ出た。今日は間ノ岳へ登る。先ほどの 富士山が朝日に染まり始めている。北岳から続く稜線を南へ、まずは目の前の中白根山を目指した。岩礫帯の道は徐々に斜度を 増してくるが、30分もすると中白根山に着いた。昨日、山荘から見たときは曇っていたので、ここが間ノ岳かと思っていたが 違っていた。北岳とのだいたい中間点で、この先いくつかのピークを越えた先に間ノ岳が控えている。もう少し距離がありそう だ。ここからでも北岳をはじめ、周りの山々の眺めは十分素晴らしい。さて、先を急ぐとしよう。中白根山から先の尾根道はと ころどころ歩き難い。足元に注意しながら小ピークの上り下りは慎重に行かねばならない。しかし、3000mを越える稜線は 眺望ももちろんだが高山植物の宝庫で、これらを楽しみながら歩くことが出来る。そして山荘を発ってから1時間半で間ノ岳に 到着した。今日はまあまあ天気が良く、昨日北岳山頂から望めなかった景色がバッチリだ。やはりこの位置から見る北岳の姿が 一番良い。反対側には農鳥岳と塩見岳。さらに甲斐駒や仙丈ケ岳、鳳凰山に八ケ岳、さらに南アルプス南部の峰々の眺めも最高 である。富士山は相変わらず雲の上にある。ひとしきり景色を楽しんだ後は同じ道で北岳山荘まで戻った。まだ8時過ぎで、下 山をまえに休憩することにした。とりあえずビールタイムだ。さて、そろそろ広河原まで帰ることにしよう。ルートはトラバー ス道で八本歯ノコル、そして大樺沢上部から二俣へ合流するものだ。トラバース道はまさに花盛りで見ていて飽きることがな く、ついつい歩が緩んでしまう。八本歯ノコル手前では崖のような山肌に足場が組まれている。こんなところによくもルートを 設けたものだと感心してしまう。八本歯からは梯子が次々に現れるスリリングな道で気が抜けないが、こんなルートをどんどん 登ってくる登山者がいる。迫力あるバットレスをすぐ真横に見ながらさらに梯子で急降下すると、やがて大樺沢の雪渓に下り立 った。雪渓は岩が崩れている箇所があると北岳山荘のオヤジが言っていたが、それほどたいしたこともなく、また雪は十分な厚 みがあり雪渓歩きを楽しむことができた。二俣へ合流すると後は往路と同じコースで広河原までだ。北岳に別れを告げ、やがて この山旅の終わりを迎えることになる。 ![]() ![]() 5時過ぎに間ノ岳に向けて出発 雲海に浮かぶ富士山 ![]() ![]() 朝日を浴びて富士山も目覚める 30分で中白根山に到着 ![]() ![]() 3つ目のピークが間ノ岳だ 尾根の西側に付けられた道は足場が悪い ![]() ![]() 1時間25分で間ノ岳に到着 これから360度の眺望を存分に楽しむ ![]() 南アルプス南部の眺め。塩見岳、荒川岳、さらに赤石岳へと続く山並みが素晴らしい ![]() ![]() 中央アルプス 仙丈ケ岳の右奥には甲斐駒ケ岳 ![]() こちらから見る北岳もまた良し。歩いてきた縦走路がよく分かる ![]() ![]() 景色を眺めながら北岳山荘に戻る 北岳山荘には8時に到着。下山前に一服タイム ![]() ![]() 八本歯へのトラバース路。凄いところに道が付けられている 間ノ岳とはここでお別れとなる ![]() ![]() 八本歯には梯子が連続する 真横から見る北岳バットレス ![]() ![]() 下方に大樺沢が見えてきた あとは広河原まで帰るだけ 【 北岳・間ノ岳で出会った花たち 】 ![]() ![]() ![]() ![]() ホタルブクロ オトギリソウ クガイソウ ミヤマハナシノブ ![]() ![]() ![]() ![]() タカネナデシコ ミヤマキンポウゲ チシマギキョウ タカネツメグサ ![]() ![]() ![]() ![]() ヨツバシオガマ ミヤマオダマキ イワベンケイ タカネマンテマ ![]() ![]() ![]() ![]() ミネウスユキソウ イブキジャコウソウ ハクサンイチゲ イワオウギ ![]() ![]() ![]() キタダケトリカブト ハクサンフウロ タカネヤハズハハコ <山行後記> 3000mを越す日本最高所の稜線歩きは、まさに雲上を行くスカイラインだった。 なんと言っても登山道を彩る植物の豊かさは特筆ものだ。北岳山頂では曇ってしま ったが、間ノ岳からは満足のいく眺望を得ることができたので良かった。遥かなる 頂と思われた北岳、間ノ岳も山小屋を利用すれば2日間でかなり余裕ある山歩きを 楽しめた。ダイナミックな眺めやそこで出会った花々など、念願の北岳登山は最高 の思い出となった。
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