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奈良県の中央に位置する大峯山は幾つかの峰を擁する歴史のある山である。 その山域は広く、古くから修験道の山とされており、現在では大峯奥駈道 が世界遺産に登録されている。また、八経ケ岳は近畿最高峰で、その登山 道は天然記念物のオオヤマレンゲに彩られている。 ほとんど馴染みのない近畿の山は、以前から気になっていた。 本来なら今年の春にでも行く予定だったのだが、ついつい行きそびれてしまい
こんな時期になってしまった。
【 関西国際空港 --- 大峯山 --- 天川村(泊) --- 大台ケ原山 --- 関西国際空港 】
関西国際空港から大急ぎで大峯山八経ケ岳の弥山登山口にやって来た。国道309号線はかなり細い箇所があり、運転に気を遣 ったが、途中にあった御手洗渓谷の紅葉は感動もので、出来ればゆっくり見学したいところだった。行者還トンネル西口にある 駐車場はほぼ埋まっていたが、時間が遅いため登山者の姿はない。準備を済ませ早速歩き出した。沢沿いの平坦な道を数分行く と橋が架かっており、これを渡るとすぐに急登が始まった。シャクナゲ帯を行く登山道は木の根が這い、ところどころ水溜りの ヌタヌタ状態である。かなりの急斜面で、気温はそれほど高くないのだが、汗が次第に溢れ出てきた。この斜面を一気に登りき ったところが奥駈道出合で、ここで休憩しようと思ったが数人のグループが食事をしていたので、このまま行くことにした。道 は一転して緩い登りに変わり、のんびり気分で歩くことが出来る。この辺りでは紅葉はとっくに終わり、葉はすっかり落ちてし まっている。落ち葉のラッセルは、さらさらとした感触が心地良い。しばらく行くと弁天の森に出たので、小休止することにし た。すっかり汗まみれになってしまったので、服を一枚脱ぎ再び歩き出した。緩いアップダウンを繰り返し数分行くと正面に弥 山が現れ、ほどなく聖宝ノ宿跡に出た。聖宝理源大師像の前を通り、さらに進むと道は木段に変わった。この登りで少し疲れて きた頃、鉄階段の先に弥山小屋が見えてきた。ずいぶん立派な小屋だが、人の姿はなくとても静かだ。弥山の頂上はこの先を少 し行ったところにある。歩き出してから2時間少々。いいペースかどうか分からないが、ここでようやく八経ケ岳を見ることが 出来た。形のよい三角錐だ。一旦下り、登り返すのだがそれほど高さに違いはないようだ。細い斜面を鞍部まで下ると、いよい よ最後の登りとなる。前から来た人に山頂までの時間を聞くと、弥山から20分くらいだそうだ。この辺りはオオヤマレンゲを 鹿害から守るためのフェンスが周囲に張り巡らされている。なんとなく自分が檻の中に入っているような気分だ。鹿よけのゲー トを2つ越えると八経ケ岳に到着した。ところどころ陽は射しているが雲が広がっている。すっきりとした眺めではないが、周 りの山々はすべて見ることが出来た。天気の良い日なら全方向視界のため、最高な景色が得られることだろう。 ![]() ![]() ![]() 行者還トンネル西口 遅くなってしまったが早速出発だ 橋を渡ると急登が始まる ![]() ![]() ![]() シャクナゲの中をぐんぐん登っていく ここで奥駈道と合流 徐々に空が明るくなり、道も緩くなってきた ![]() ![]() 弁天の森で休憩することにした。こんなに看板立てなくても 木々の間から弥山が見えてきた ![]() ![]() ![]() 聖宝ノ宿跡。修験道の地らしい 階段を登り詰めると弥山小屋に着く 弥山に到着。頂上はこの先になる ![]() ![]() ![]() 八経ケ岳は雲に隠れてしまった 立ち枯れの林の中、鞍部へ下る オオヤマレンゲ保護のためのフェンス ![]() ![]() 2時間30分で八経ケ岳に到着 弥山と対峙する。ポツンと見えるのは弥山小屋 ![]() ![]() 近くの山は見えるが、絶景とまではいかない。低い雲が深山幽谷の趣で、これはこれで良し <山行後記> 翌日に登るはずだったが、雨の予報のため予定を繰り上げたのが幸いした。始めの激登 りと中間点での楽な歩きなど、山頂に至る行程にはめりはりがあり、時間的にもこれく らいが丁度良い。世界遺産での山歩きは山岳霊場の雰囲気を味わうことができる素晴ら しいものであった。
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