87笠ケ岳


 残念な天気。いつかのリベンジを誓う
かさがたけ


(2898m)
                                                                                          岐阜県高山市



       飛騨の名峰、笠ケ岳。蒲田川を挟んで槍穂高連峰と対峙し、新穂高側から眺める
       と、山頂部の尾根まで一気に立ち上がる姿は重厚感がある。緩やかに続く稜線の
       上に笠を被せ、周囲の山からでも目立つ存在だ。笠ケ岳は主脈から外れており、
       まさに槍穂高の展望台とも言える、この山ならではの素晴らしいパノラマが魅力
       だ。



       【 新穂高温泉 --- 槍ケ岳山荘(泊) --- 槍ケ岳 --- 鏡平山荘(泊) --- 笠ケ岳 --- 新穂高温泉 


 2009年9月22日    雨/曇

  ・コース
  鏡平山荘⇒弓折岳⇒大ノマ岳⇒抜戸岳分岐⇔
  笠ケ岳山荘⇔笠ケ岳⇔新穂高温泉

 ・行き 4時間20分 、 帰り 4時間10分
      (鏡平山荘から)

 ・標高差 1781m

 ・歩程 20.0km
  



昨日と違って鏡平山荘はとても快適だった。食事も美味しく、よく眠ることが出来た。朝5時に外へ出たが、まだ暗いので明る
くなるまで少し待つことにした。空模様のほうは昨日よりも良くないのは明らかだ。何人かが出発したので、こちらもそれに続
いてヘッドランプを灯して歩きだした。まずは昨日と同じ道を戻ることにする。初めの急登をこなすと後は緩やかな登りにな
り、40分ほどで弓折乗越に着いた。だいぶ明るくなり、ヘッドランプは要らなくなったが、僅かだが雨が降り出してしまっ
た。これ以上、天気が悪くならなければ良いのだが。この尾根を右に行くと双六岳方面だが、笠ケ岳へは左になる。数分歩くと
すぐに弓折岳に着いた。完全に雲の中といった感じで、景色はほとんど見ることが出来ない。弓折岳はそのまま通過する。一旦
下ると鞍部になり、ここから大ノマ岳への登りが始まる。行く手を見ると雲の間から小高いピークが見える。しばらく進むとそ
のピークに達した。山頂標もなにも立っていないが、ここが大ノマ岳だろう。さらに先へ進むことにする。左手には一面の雲の
中から槍が穂先を覗かせており、なんとも幻想的な眺めだ。先ほどよりも若干雨が強くなってきた。たいした雨ではないが、と
りあえず雨具を着ることにした。再び歩き出すと道は緩やかになり、しばらくするとやがて秩父平に出た。ここは尾根のすぐ下
に広がる小さなカールで、夏には一面お花畑になる素晴らしいところだ。もちろん今はそんな景色は見ることは出来ない。カー
ルの底からジグザグに登って行くと再び尾根に出た。この先はそれほどきつい登りもなく、ハイマツ帯のゆるい上下をこなして
いく。気がつくと抜戸岳分岐までたどり着いた。それほど歩いた気がしないのは、眺望もなく黙々と歩き続けた結果だろうか。
抜戸岳頂上には向かわず、すぐ下を巻いて行くと新穂高へと下る笠新道との分岐がある。この辺りからは、天気が良ければ笠ケ
岳へ続く稜線の眺めが素晴らしいのだが、残念でならない。しばらく進み、抜戸岩を越えるとそろそろ山荘も近いのではないだ
ろうか。先ほどから弓折岳で会ったおじさんが、同じペースで後ろにくっついて来る。今日は双六小屋から来て、笠ケ岳に登頂
後は新穂高に下りるそうだ。おじさんと微妙な間隔を保ちながら、さらに行くとキャンプ場に到着した。テントは見当たらな
い。ここからは板状節理の岩場の登りとなり、やがて目の前に笠ケ岳山荘が現れる。歩き始めて4時間が経過していた。山荘で
一息ついた後、ザックをデポし山頂へ向かうことにした。ゆっくり登っても10分ほどで笠ケ岳の頂上に到着した。こんな天気
のため景色云々ではないが、ほとんど雨が上がったことは幸いだ。これ以上の長居は無要なので、写真だけ撮ってさっさと下る
としよう。朝から何も食べていなかったので、笠ケ岳山荘に戻って来ると軽く食事をすることにした。例のおじさんは美味そう
にラーメンをすすっている。さて、食事も済んだのでそろそろ帰ろう。笠新道は新穂高まで一気に急降下して行く。その下りは
ハンパではなく、前穂高の重太郎新道と同じようだ。ここで昨日に続いて今日も雷鳥に出会うことが出来た。好天ならばゆっく
りしたい杓子平を通過し、とにかく下を目指す。前を行く下山者は次々に追い抜いて、さらに高度を処理していく。例のおじさ
んも頑張って付いてきている。雲が切れてくると、眼下に中崎山から奥丸山に続く尾根、その麓に流れる蒲田川を俯瞰出来た。
しかし、これだけ下ってきたというのにまだまだ遥か眼下で、改めてこの笠新道の急登ぶりが感じられた。笠新道の登山口には
山荘を発って3時間20分で戻ってきた。後は林道歩きだけだ。


 
       出発の朝、外は一面ガスで覆われていた                    弓折乗越から少し行くと弓折岳だ

 
      登り返した先にあるのが大ノマ岳?と思われる             穂先を覗かせる槍ケ岳はまるで墨絵のような雰囲気

 
        笠新道の分岐。気がつくとここまで来ていた              名物の抜戸岩を過ぎれば、もう少しで笠ケ岳山荘か

 
       笠ケ岳山荘に到着。荷物をデポして山頂へ向かう       鏡平から4時間20分で笠ケ岳に到着。眺望なし。すぐ山荘に戻る

 
 笠新道を下山中。中崎尾根は見えるが、槍穂高は相変わらずだ      長い下りを終えてようやく笠新道の入口まで戻ってきた
     かなり下ってきたと思うが、登山口はまだ遥か下だ




           鏡平山荘
           昨日の槍ケ岳山荘の混雑は尋常ではなかった。ホールや廊下にまで人が溢れ出して
           の大騒ぎ。その前の五竜山荘もそうだったが、この時期の週末はしかたがないか。
           朝、鏡平山荘に電話で聞いたらそれほど混雑はしないということだ。双六小屋も考
           えていたが鏡平に決定した。鏡平山荘は快適で食事も美味しい素敵な山荘だった。
           また、混雑もなく、のんびり過ごすことができたのが良かった。




        <山行後記>
          最近の北アルプスでは好天続きだったが、今日は生憎の天気となってしまった。しかし
          笠新道から登る覚悟のところを、弓折岳から楽に行けたのでラッキーだった。なにより
          無事に笠ケ岳の頂上に立てたのが良かった。機会があれば、次回は晴れの日に笠新道か
          ら挑戦してみたくなった。



        前日の 槍ケ岳 





トップへ
トップへ
戻る
戻る