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羅臼岳はオホーツク海に突き出た知床半島の真ん中に位置し、知床連山 では最高峰で主峰となる山である。下部の原生樹林帯から上部の高山植 物など、知床の自然の素晴らしさを味わえる山として人気がある。 【 女満別空港 --- 斜里岳 --- ウトロ温泉(泊) --- 羅臼岳 --- 雌阿寒温泉(泊) --- 阿寒岳 --- 女満別空港 】
岩尾別温泉のホテル手前の路肩に車を置き、身支度を整える。ホテルの脇を進むと木下小屋があり、その横に登山道が伸びてい る。8時15分、登山届けを書き歩き出した。明るい林の中を行く登山道は自分好みでとても歩きやすい。30分でオホーツク 展望台に着いた。先着していたおばちゃん連中と海を見ながら小休止。その先の650m岩峰付近にはアリの巣が集中してお り、それを狙うヒグマが頻繁に出没するらしい。足元を見ると確かにたくさんのアリが這っていた。とにかく熊だけには会いた くないものだ。ヒグマ出没多発地帯を過ぎると弥三吉水に出た。この水場は秋でも涸れることがないそうだ。水筒に水を汲んで 再び歩き出した。すぐに極楽平で、この前後は緩やかな上りが続いた。今日は天気が良く、足取りも軽く順調に距離を稼いでい く。仙人坂に達すると頂上まで約3km、もうそろそろ半分を過ぎるころだろうか。つづら折れの坂を登って行くと銀冷水に出 た。ここも水場らしいが少々怪しかった。すぐ脇ではエゾシカが木の葉をつついていた。しばらくして樹林を抜けた所が大沢入 口で、行く手には雪渓が待ち構えている。この時期でも随分と雪があったが、腐れ雪なのでアイゼンは必要なく、楽に越えるこ とが出来た。振り返るとオホーツク海が遥か彼方だ。道の両側には綺麗な花が多く見られるようになり、やがて羅臼平にたどり 着いた。そばにはテン場があり、ここで羅臼岳を眺めながら休憩することにした。青空に映える頂上のドームが印象的だ。さ て、そろそろラストスパートにしよう。ハイマツの中を徐々に登って行くと、頂上直下の岩稜帯に取り付いた。もう一息という 所には岩清水があり、苔を伝って流れ落ちてくる水は冷たくて美味しかった。疲れていたので、ついついガブ飲みしてしまっ た。息を切らせながらゆっくり登って行くと、ついに羅臼岳山頂に到着した。昨日登った斜里岳の方向は少し雲がかかっている が、それ以外はいい眺めだ。まず目の前の三ツ峰、サシルイ岳が目に飛び込んできた。また、知床峠へと続く横断道路が原生林 の中を走っている。この知床峠からはこれまで何度もこの山を見上げたことがあった。さらにウトロの街や知床五湖も俯瞰する ことが出来た。その先に目を転じると爺々岳、ルルイ岳を擁する国後島まで望める景観は感動ものだ。今日はこの後、雌阿寒温 泉まで行かなければならない。そろそろ下山することにするか。 ![]() ![]() ![]() 岩尾別温泉にある木下小屋 オホーツク展望台を通過 オホーツク海が広がる。眼下に知床五湖 ![]() ![]() 弥三吉水で給水をする 極楽平に着くと羅臼岳が顔を出す ![]() ![]() 大沢入口からはしばらく雪渓歩きになる 大沢の途中から振り返る ![]() ![]() 羅臼平はとても開放的なところだ 羅臼平を挟んで三ツ峰 ![]() ![]() 山頂の溶岩ドームが特徴だ この岩清水は冷たくて美味しかった ![]() ![]() 山頂手前の岩場は花を見ながら 4時間30分かかって羅臼岳に到着 ![]() ![]() 原生林を貫く知床横断道路 硫黄山へと続く山並み。最高の眺め ![]() ![]() 雲がどけば斜里岳まで遠望できるのだが ぽっかりと浮かぶ島影は国後島だ 【 羅臼岳で出会った花たち 】 ![]() ![]() ![]() エゾキンバイソウ ゴゼンタチバナ イワギキョウ ![]() ![]() ![]() チングルマ エゾコザクラ ウコンウツギ ![]() ![]() メアカンフスマ <山行後記> 大沢までの道程は長く単調だが、その後は雪渓、羅臼平、岩登りと変化があり楽しませ てもらえる。適所に水場があるのもありがたい。何より登山道を彩る高山植物が素晴ら しく、見ていて飽きることがない。また、心配していたヒグマに遭遇せずに済んだのも 良かった。天候に恵まれ満足の一日だった。
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