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雌阿寒岳、阿寒富士、剣ケ峰、雄阿寒岳をひとまとめにして阿寒岳と いう。阿寒湖、オンネトーといった神秘的な湖を抱き、独立峰の秀逸 さと活火山の荒々しさをあわせ持つ。最高峰は雌阿寒岳だが、登山口 からの標高差が大きいのは雄阿寒岳になる。 【 女満別空港 --- 斜里岳 --- ウトロ温泉(泊) --- 羅臼岳 --- 雌阿寒温泉(泊) --- 阿寒岳 --- 女満別空港 】
道内有数の名湯、雌阿寒温泉ではゆっくり温泉に浸かり、先日までの疲れをとることが出来た。ここの温泉はとても気に入って おり、これまで何度も訪れたことがあった。今日は不幸にも天気予報が当たり、朝から雨だ。朝食を摂りながら同宿したご夫妻 とこの天気に悪態をつく。彼らもこれから雌阿寒を登るそうだ。恨めしそうに空ばかり見ていても仕方がないので、食事を済ま せると宿を出ることにした。登山口は一旦道路に出て、野中温泉の先にあった。アカエゾマツ、トドマツなどの原始林に覆われ た中を歩き出した。足元には木の根が縦横無尽に這っている。心配していた雨もそれほど強くはなく、さらにこの森林に遮られ るのであまり苦にならない。スタートからしばらくは急坂が続き、どんどん標高を上げていく。雨のため初めは涼しかったのだ が、すぐに汗だく状態だ。しかもレインウェアのせいでなかなか汗が乾かない。3合目を過ぎると樹林帯を抜け、植生はハイマ ツ帯に変わる。景色も開け開放感が得られた。気が付くとほとんど雨が止んでいた。4合目を過ぎ、振り返ると雲の下には青い 水を湛えたオンネトーがひっそりと佇んでいる。晴れていればさらに鮮やかに映るのだが。行く手左方向には剣ケ峰とその先に フップシ岳が見えた。狭い道をジグザグに登って行くと、前方に22人の団体一行が現れた。適当なところで止まってくれた が、一気に抜き去るのはさすがに大変だ。もくもくと登り続け7合目辺りまで来ると、登山道の状況はこれまでと一変する。岩 場が続き、足元はガレ場と化す。赤ペンキに沿ってさらに進むと、何やら時々もの凄い轟音が聞こえてきた。まるでジェットエ ンジンのようだ。さらに、下の宿で入った温泉と同じ臭いが漂っている。これも火山活動の証しだろう。やがて辺りはすっかり 雲に包まれてしまい視界が利かないが、どうやら山頂手前の外輪山に到達したことが分かった。相変わらず雲に隠れた火口から は時々轟音が響き、ある種の恐ろしささえ感じた。そこから左に回って行くと山頂に到着した。山頂には同じ宿のご夫妻が休ん でいた。雲が取れるかとしばらく待っていたそうだが、諦めて下山すると言う。晴れていれば噴煙を上げる迫力ある火口、その 中の青沼や赤沼、阿寒富士などをすぐ間近に見ることが出来たのだが残念だ。この後の天気のこともあるので、こちらも急いで 下山することにした。少し雨が降ってきたが3時間半で無事に戻ることが出来た。少々物足りない気もするが、こんな天気の日 にはこれぐらいが丁度良い。宿で温泉に浸かり汗を流した後、雨が本降りになってきたので幸いだった。 ![]() ![]() 雨の中を歩き始める。アカマツの林がしばらく続く ハイマツの向こうに剣ケ峰とフップシ岳が見えてきた ![]() ![]() 山頂方向は雲に隠れてしまった 22人の団体ご一行様。一気に抜き去る ![]() ![]() 4合目を過ぎたあたりからオンネトーを俯瞰。雲が切れた一瞬だった 岩場から、さらにガレ場に変わっていく ![]() ![]() 雌阿寒岳に到着したが眺望はまったく得られず。とっとと下山すべし <山行後記> もう少し楽に登れると思ったが、意外と登り甲斐があった。生憎の天候で残念だった が、それでも一番いい頃合いに登ったようだ。また、一瞬でもオンネトーを眺めるこ とが出来て良かった。期待していた高山植物にあまり会えなかったのは残念だ。火山 の山は好きなので、再訪して晴れた日に登ってみたいと思った。
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