何とも意味ありげな名前の山だが、知名度はあまりない雨飾山。山頂から は北信や北アルプスの山々、日本海を見渡すことができる。麓のブナ林か ら山頂手前の笹平までの環境は素晴らしい。登山道は長野県の小谷温泉と 新潟県の雨飾温泉からのものがある。 昨日の焼岳と乗鞍岳は若干曇っていたが、まずまずで楽しめた。 乗鞍高原の温泉でゆっくりしすぎ、急いで小谷温泉までやってきた。
今日は雨飾山だ。
乗鞍岳から小谷温泉へ移動し、雨飾高原キャンプ場へやって来ると、そこの駐車場はすでにほとんどが埋まっていた。５時３０ 分過ぎ、車外が賑やかになってきたので、こちらもそろそろ起きだして準備を整えることにした。なんと駐車場は満車でバスも ２台停まっており、敷地の外まで車が列を成していた。まだ閉まっていたが売店があり、この裏の登山道から６時に出発した。 このコースは山頂まで４００mおきに１１枚の表示板が設置されており、いい目安になるという。はじめは湿地の中に木道が続 いており、好天のなかを気分良く歩いていく。あっという間に２枚目の表示板を過ぎると、樹林帯の斜面をジグザグに登りだし た。樹木の根が網のように表出しており、ところどころ大きな段差があるが、いいペースで登っていくと４０分でブナ平に出 た。この辺りはブナの原生林だが、直径１mを越す大木を何本も見ることができる。ブナの大木がこれほど密生しているのはと ても珍しい。休憩するつもりはなかったが、先に休憩していた人が話しかけてきたので、ついつい付き合ってしまった。再び歩 き出し、しばらくすると道の両側は笹薮に変わった。その後は平坦になるが、６枚目の表示板を過ぎると一気に１５０mほど下 り始めた。せっかく登ったのにもったいない。沢音が大きくなると、やがて下りきったところが荒菅沢だ。沢の上流を見上げる と、木々の間からは頂上部分が姿を現した。三角に尖った岩峰が迫り来るような迫力ある眺めだ。ここには水場があり、そこら の流れの水を飲んでみたがとても美味しかった。沢の周りはたくさんの人でごった返しており、ゆっくりできそうになかったの で先を急ぐことにした。再び林の中を行くが、その道は今まで以上に斜度を増してきた。みるみる高度を上げ、荒菅沢から見上 げた頂上部が近づいてくる。この急登を喘ぎながらも３５分ほど登ると、林を抜け見晴らしの良い尾根にでた。ここは開放感の ある気持ち良い尾根だが、相変わらずの急登が待っていた。景色を見ながら小休止。狭い尾根道は岩が折り重なっているようで スリップ転倒や、また、岩が浮いており落石にも注意しなければならない。帰りのすれ違いが大変だ。あとから団体がやって来 そうな気配がしたので一気にここを登りつめると、左方向の山頂手前まで笹平が展開していた。笹の中を緩やかに延びていく気 持ちの良いところだ。雨飾温泉への分岐を過ぎ、頂上直下のコルでは荒菅沢まで落ち込む高度感のある眺めが凄い。さて、最後 のひと踏ん張りだ。下ってくる人を避けながら狭い急登を１０分行くと山頂に到着した。１０mほど離れたピークにはそれぞれ 山頂標があり、これは長野と新潟のものらしいが、長野側のほうが少しだけ高い。山頂からの眺めは素晴らしいの一言に尽き る。まず目を引くのは白馬三山だ。そこから五龍岳、鹿島槍ケ岳、さらに槍ケ岳、穂高岳へと続くパノラマは見ていて飽きるこ とがない。また、隣の焼山の向こうには火打山が頭を覗かせている。北にある鋸岳も存在感があり、その先には糸魚川の町まで はっきりと見渡すことができた。日本海もとても穏やかだ。決して広くはない頂上だが、続々と登山者がやって来る。そろそろ 帰ることにしよう。    駐車場は満車の状態 山頂までは２１０分と書いてある 湿原、木道が終わるとブナ林に変わる   布団菱の岩峰群。山頂はあの先になる 荒菅沢では団体さんが早くも食事タイム   ここの登りが一番キツイ。狭い急登は浮き石だらけ 高妻山と戸隠山   急登を終えると緩やかな笹平が広がっている 雨飾温泉の分岐   山頂手前の急斜面は狭く、すれ違いが大変 荒菅沢が遥か眼下に見える   ２時間４５分で山頂に到着 笹平にくっきりとついた一本道がよく分かる   新潟県側にあるピーク 糸魚川の町とその向こうには日本海が広がる   一番近くに見えるのが鋸岳 焼山と火打山が頭を出している   ひと際素晴らしい眺めなのが、白馬三山から鹿島槍ケ岳へと続く後立山連峰  ＜山行後記＞ 登山道は豊かなブナの原生林や、展望に恵まれた尾根など、急登もあるが楽しく歩くこと が出来た。なんと言っても山頂からの白馬連山の眺めは最高だった。人気の山だけあって 登山者の多さには閉口した。帰りの尾根道でのすれ違いには、かなり苦労させられた。
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